第五話 〜アスナが機動六課に行くお話【暁 Ver】
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<スバルは説明とか苦手そうやし>
スバルを見ると露骨に目を逸らした。苦手なのではなく、久しぶりに見るアスナの戦闘に集中したいだけだろうと思いつつ、溜息を吐いた。
「……アスナのデバイスである『フラッター』には、インテリジェントデバイスで使用される人格AIは搭載していません。その代わりに『ボブ』と呼ばれるAIが、お兄さんの工房からリモートによりデバイスの制御を行います。変則的なインテリジェントと言えば良いんでしょうか。ちなみに『フラッター』も『ボブ』もお兄さん……アスナの兄である桐生さんが制作したものです」
ティアナはそこまで説明するとバリアジャケットを展開し終わって、体を解すように屈伸をしているアスナを少しだけ見つめた。
「ちなみにアスナのバリアジャケットはインナーのみです。ゴーグルを含めた全てのプロテクターがデバイスで、あれが展開状態になります。待機状態はアスナが胸に付けているピンズですね」
「あ、あの可愛いバッジが待機状態なんだ」
意外と可愛らしい小物が好きなのか、高町なのは得心したように頷いた。新人達にとって厳しい教導官ではあったが、琥珀を思わせる色をした髪をサイドで結わえている姿は幼くも見える。
「ん。説明ありがとう。そろそろ始めるで」
「お前は『何処から』来た?」
御堂の問いかけにアスナは答えない。全身に『魔力』を流し込み、万遍なく『強化』していく。アスナの細胞の一つ一つが、力を与えられ歓喜と戦闘の雄叫びを上げる。アスナの魔法はたった一つだけ。普通の人間よりも異常に高い身体能力。そこに魔力を使った強化魔法──── 『全身強化』。それを更にデバイスを使い底上げする。そうして得られた圧倒的な破壊力が、アスナ最大の武器だった。
「黙りか。……オレは負けられないんだ。絶対に」
喉から絞り出したような御堂の言葉を聞いて、アスナは怪訝そうに眉を寄せた。だが、それも一瞬で。目の前にいる男が何を考えているかなどアスナにはどうでもよかった。彼女がやることは決まっているからだ。
「はは……久しぶりだね。この感覚」
スバルはそう言って頬を引きつらせる。シミュレーター内の気温が一気に下がったような感覚。見えない真綿で首をゆっくり絞められているような──── ひどく息苦しい。音もよく聞こえない。まるで耳栓をしているように鈍く聞こえるのだ。
「……まるで別人や」
はやては驚いていた。驚愕と言い換えても良いだろう。八神はやては正直な心情を吐露するならば、『殺気』や『闘気』などというような物は信じてはいなかった。魔力を感じるような気配ならばわかる。だが、これはいったい何だろうか。
はやては後に
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