第五話 〜アスナが機動六課に行くお話【暁 Ver】
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んなアスナを見て誇りに思う。今の私はとても締まりのない顔をしていることだろう。アスナに倣うようにして、自分の名とアスナの兄である事を告げた──── 胸を張って。婦人は柔らかな仕草で立ち上がると、私とアスナを優しく見つめながら名乗ってくれたのだ。私とアスナにとって──── とても大切な人になるであろう、その名を。
「私は、アイリーン……アイリーン・バークリー。よろしくね」
「……おばあちゃん」
アスナは懐かしい夢を見た。兄である桐生と同じくらいに大切だった人。アスナが僅かに身じろぎすると、身体の節々が痛い。慣れないベッドで寝たからだろうか。アスナは『昔』の夢を見るのは嫌いだった。だが、今朝の夢は嫌いではない。……それがもう、夢でしか会えない人であれば尚更だった。
「おはよう」
唐突にアスナには懐かしくも聞き慣れた声が降ってきた。顔を上げるとティアナとスバルが立っている。
「相変わらずドアにロックをしないのは変わってないのね? 女子寮は安全だとは思うけど、万が一ってこともあるんだから、いい加減に憶えなさい。あと、昨日会ったアイナさん憶えてるでしょ? 荷物なんかは彼女宛に送るようにして貰ってね?」
「何にせよ、自分で起きてくれてよかったよ。無理に起こすと機嫌が悪いんだもん」
「あんた、一度ぶっ飛ばされたもんね、スバル」
訓練校時代の話であった。尤も、ティアナが見たのは窓から叩き落とされるスバルの姿で、彼女はそれを見ながら腹を抱えて笑っていただけであったが。酷い話である。
「八神部隊長が呼んでるわ。部隊長室まで来て欲しいって。昨日、言ってたでしょ」
「……はい」
アスナが連れてこられた部隊長室には、既に部屋の主である八神はやてとシグナムと呼ばれた女性、そして御堂という男がいた。アスナはこの御堂という男が好きにはなれなかった。何故かはわからないが、昨日最後まで自分を物珍しげに見ていたからだ。どこかで会ったことがあるのか記憶を掘り返してみても、そんな目で見られるような理由は最後までわからなかった。
御堂の視線に気づいたティアナが、僅かに眉を寄せながら彼を見る。御堂はそれに気付かないふりをしながら、八神はやてへと問いかけた。
「昨日入ったばかりの新人と模擬戦だと? いったい何を考えてるんだ」
御堂の言い分は尤もであった。彼は気が進まないとばかりに鼻を鳴らす。
「理由なぁ。……アスナちゃんの実力が見たい言うんは理由にならへんかな?」
「だったら、シグナムでもいいだろう」
「……こわいのなら、やらなくていい」
堂々巡りになりそうな雰囲気をアスナの一言が変えてしまった。アスナは彼を挑発するつもりもなかっ
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