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空を駆ける姫御子
第五話 〜アスナが機動六課に行くお話【暁 Ver】
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り仕事なりを見つけなければ、アスナと共に路頭に迷う事になる。ふとアスナを伺うと──── 何が楽しいのか、彼女は草原をころころと転がっていた。

 こちらへ来て間もなくの頃だ。唐突に何の前触れもなく『お兄ちゃん』と呼ばれた。以前、妹がいた為にそれほど動揺することはなかったが、気にはなったので彼女へ理由を尋ねると、至極当たり前だとでも言うように彼女は言ったのだ。

──── ……かぞくだから

 お父さんと呼ばれなかった事に安堵しつつ、純粋に嬉しかった。私に──── そう呼ばれる資格はないのだとしても。今日の彼女は空色のチュニックと白のカプリパンツという動きやすい出で立ちで、身内の贔屓目を差し引いても可愛らしと思えた。もう少し表情が顔に出てもいいような気もするが。

 この草原はあの日以来、彼女のお気に入りの場所になっていた。勿論、私にとっても。捕まえた青虫を彼女に突きつけられて困っていた時、私の耳に凪いだ海のような優しい声が届いた。

 女性であれば、誰でもこんな歳の取り方をしたいと思わせるような婦人が立っていた。気品を感じさせる表情に穏やかな笑みを浮かべている。

「あらあら。ごめんなさいね? 突然声を掛けてしまって。怖がらせてしまったかしら」

 アスナは草原に胡座をかいて座っている私の背中へ、半ば隠れるようにして婦人を見上げていた。

「申し訳ありません。お気を悪くなさらないでください。この娘は少々人見知りするものですから」

「ごめんなさいね。とっても可愛らしい『不法侵入者』さんがいたものだから」

 何を言われたのか暫くわからなかった。婦人は、私の表情がおかしかったのか、鈴を転がすような声で笑う。

「ここら辺一帯、主人の土地なんですよ。つまり……私有地なのね」

「それは……知らなかったとはいえ、申し訳ありませんでした。すぐ出て行きますので」

 もう一年ほど通っているのに私有地だとは気付かなかった。私が慌てて立ち上がろうとすると、婦人が引き留めた。

「ごめんなさい。お散歩をしていたら可愛らしい女の子を見かけたものだから。追い出そうと思ったわけじゃないの。あの丘にある大きな木にはとっても大切な思い出があって。散歩が日課なのね」

 婦人の視線を追うようにして大樹に視線を移す。その大樹は枝を大きく広げ、見守るように私達を見ていた。アスナは婦人の優しい雰囲気から怖くない人と理解したのか、いつの間にか私の背中から婦人の足下へ移動していた。婦人は笑みを浮かべながらアスナと視線を同じにするように、品の良い仕草でしゃがみ込む。

「本当に可愛らしいこと。お名前は?」

 アスナはその名を口にする事を誇りにするように、はっきりと婦人へと告げた。

「……きりゅうあすな」

 私こそ、そ
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