episodeT 始まりの日?
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ドに膝を立てて、アイボリーのカーテンを閉め切る。十一月を迎えた今日この頃はどんよりとした雲が覆っているため、窓から日光が差すほどでもないが、部屋は暗くしておいた方がいいようなので素直に従う。ネットゲーム初心者の人間が無知に無謀な行動を取るものではなかろう。
上下長ジャージのラフな格好で仰向けに寝転がり、俺はつい数日前購入した《それ》を取り出した。
《ナーブギア》。
それこそが俺がこれから向かう剣で彩られた仮想世界、VRMMORPG――《ソードアート・オンライン》を動かすためのゲームハード。
見た目こそ流線型のどっしりとしたヘッドギアで、どこの兵隊の防弾ヘルメットだよと突っ込みたいが、これこそかの天才物理学者にして天才ゲームデザイナーの茅場晶彦が独自に作り出した現状存在する唯一の仮想世界を生み出す機械なのだ。ちょっと地元でも有名な進学校に通っている程度の俺が心配するなどおこがましいだろう。
それに見た目に文句を言う心配などない。これから向かう仮想世界は現実世界と隔離された場所であるのだから、現実世界の俺が無様にベッドでいびきをかいていようが、ナーブギアに固定されていようが関係ない。
「――よし、行くかぁ!」
ぱぁん、と頬を叩いた俺は高まる高揚を隠そうともせず叫んだ。
時計が正午間近になったのを確認し、ナーブギアを被る。リモコンで照明を切り、視界が黒一色で埋め尽くされる。俺はリラックスした態勢で全体重をベッドに預けた。
そして――
自分の人生を大きく変えたであろう、その言葉を紡いだ。
「リンクスタート!」
二〇二二年十一月六日、午後一時。
金崎颯斗、ログイン開始。
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