第百六十二話 下賜
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らの労いに、恐縮する三人。
「その様に固く成らずに、普段通り話なさい、特にビッテンフェルト、貴方が静かだと変な感じよ」
テレーゼの言葉に、皆がクスッとする。
「御意、殿下の仰る通りでございます。静かなビッテンフェルトなどは不気味すぎますから」
「ミッターマイヤー、酷い事を言うな」
「いえ、ミッターマイヤー提督の言われる事は確かですな」
ミッターマイヤーの言葉にビッテンフェルトが文句を言うが、メックリンガーがミッターマイヤーを応援する。
場がほぐれた所で、テレーゼが三人に話しかける。
「みんな、これを見て頂戴」
テレーゼが前方を指さすと、真っ暗だったドック内に明かりが点りドックに鎮座する三隻の大型戦艦が浮かび上がった。
「これは」
「おう」
「ほう」
三者三葉の言葉にテレーゼが内心はニヤリとしながら三人に話し始める。
「今回竣工した旗艦級新造戦艦よ。艦名なのだけど、未だ決まっていなくて仮称で呼んでいるんだけど、左から、レギンレイヴ、真ん中が、ゲイルスケグル、右がヘルフィヨトルよ」
テレーゼの話を聞きながら三人の視線は戦艦の方に向いている。
「凄いでしょ、今回三人を呼んだのは、この艦を三人に下賜する事にしたからのよ」
テレーゼの発言に驚く三人。
「殿下、専用旗艦の下賜は大将に成らないと罷り成らぬはずではございませんか?」
メックリンガーの指摘に、ミッターマイヤー、ビッテンフェルトも同意する。
「小官等は未だ少将でございますれば、旗艦の下賜を受ける栄誉に達しておりません」
「卿等は今回のヴァンフリートでの武勲で8月の臨時昇進時に中将に昇進するわ。メックリンガーの言う様に確かに専用旗艦の下賜は大将に成らないと駄目なのだけど、妾が卿等に下賜する事については、軍法に何の規制もないのよね」
そう言いながらテレーゼはウインクをする。
「成るほど、殿下よりに下賜ならば、何の取り決めも無い訳と言う訳でございますか」
「そう言う事よ」
「殿下、失礼は承知の上でお聞きしますが、幾ら殿下の御下賜とは言えども、口さかない者達から、小官等が何を言われようと一向に構いませんが、殿下にご迷惑がかかる事が心配で成りません」
「ミッターマイヤー提督の言う通りでございます。殿下の御下賜とは言え、国有財産を御下賜する行為で御座いますれば、殿下の名声に傷がお付きになるかと」
「ミッターマイヤー、メックリンガーの言う事も判るけど、この艦は、国家予算は一切使っていないわ、全て私の財布から出しているのだから、建造自体は工廠に発注はしたけど、正規の値段を払っているのよ」
テレーゼの話に、驚く三人であるが、更に爆弾発言が行われた。
「三人とも今回の戦功で中将へ昇進するのだけど、更に正規艦隊司令官に親
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