第百六十二話 下賜
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」
シェーンコップ達が席に着く。
「総員、着席」
堅苦しいのは嫌いなシェーンコップであったが、規律と士気を保つために仕方が無しに、はなす。
「総員、御苦労、ゆっくり食してくれ」
その言葉と共に、ローゼンリッター2000名が一斉に食事を開始した。
「こりゃ豪華だな」
「副連隊長、これは……」
ブルームハルトが豪華な食事にニコニコする中、ディア・デッケンはその料理に言いようのない不安を感じた。
「ベーコン入りエンドウ豆のスープにザワークラウト、ベルリンサンドイッチ、グラッシュズッペ、アイスバイン、ニシンの酢漬、各種ソーセージ、スティファド(牛肉とじゃがいものトマト煮込み)、フルーツの盛り合わせ、それで酒ですか」
リンツが律儀にメニュー表を読み上げる。
「しかも、おかわり自由と来てますな」
「フッ、最後の晩餐と言う事か」
リンツとディア・デッケンの言葉を聞きながら、シェーンコップが小声で呟いた。
「副連隊長、まさか」
「此処は恒星系至近ですから焼くには丁度良い訳ですか」
シェーンコップの発言にリンツ達が神妙な表情で話す。
「尤も、単なる気まぐれと言う事も考えられるがな」
「副連隊長、脅かさないで下さいよ」
陽気なブルームハルトが何とか暗い雰囲気を消そうとオーバーアクションで話す。
其処へ丁度、酒を運んできた給仕役のおばちゃんが、にこやかに話しかけて来た。
「ありゃ、シェーンコップさんも、リンツさんも深刻な顔を為さって、料理が美味しくないだかね?」
何処か辺境の出身なのだろうか、田舎のおばちゃん風で訛りのある言葉で話しかけてくる。
「いや、今までと比べて嫌に豪勢な食事だから、驚いているんですよ」
リンツが咄嗟に理由付けをして答える。
「そうやね、昨日までと違ごうて、このアルテナ星系に来たからやね、ここは帝国でも屈指の新鮮な食材が多い所やからね、そんで昨日補給がきただよ、それに今日は晴眼帝マクリミリアン・ヨウーゼフ陛下の生誕記念日だし、お祝いの為に大量の食材が下賜されたんよ」
「なるほど、そう言う訳ですか」
「そうやね、んだから、驚くほどじゃ無いだよ」
おばちゃんが別の席へ向うと、ブルームハルトが早速食べ始めた。
「杞憂と判ったからには、ジャンジャン食べるぞ」
「がっつくな、ブルームハルト」
「ハハハ」
おばちゃんの話に杞憂だったかと笑うシェーンコップ達、実際は少々不安にさせるために態とやっている事なのであるが、そんな事、シェーンコップにも判る訳がなかった。何故なら、テレーゼの原作知識に依り、ヤンがローゼンリッターをイゼルローン要塞攻略に利用できない様にさせる為の捕獲作戦だったのであるから、その為に色々と工作しているのである。
翌日以降、流石に
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