第百六十二話 下賜
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ンコップはナイフで頸をカッ切る仕草をしてディア・デッケンに不敵な笑みを見せる。
「確かに、この状態は捕虜としては呆れるほどですから、何と言っても、監視が学校の用務員のような爺さんですし、世話係は国のお袋や婆ちゃんみたいな年寄りですからね」
シェーンコップの話にリンツが相づちをしながら話す。
「映画は見放題、18禁小説やなにやらも平気で閲覧OK、しかも客船だからプールにスポーツジム完備の上、それぞれが相部屋でも個室で過ごすって、俺達は捕虜に成ったのか慰安旅行に来たのか判らなく成りそうですよ」
ブルームハルトがおちゃらけながら話す。
「全くですな、先ほど兵達を確認してきましたが、すっかり捕虜と成ったときの悲壮感が消えています。やはり爺さん婆さんと接して、故郷の家族を思い出している様です」
「まるで下宿か寄宿舎に居るようですよ」
「精神衛生上は良いんだが、この状態が何時まで続くかが問題だな」
「そうですな、この状態で、いきなり矯正区に送られたら、兵達の士気はガタガタに成りかねません」
「可能性としては、其れを帝国は狙っているかも知れないと言う事か?」
リンツの推測にシェーンコップは考えながら答える。
「可能性としてはあり得ない事ではないかと」
「俺としては、全面的にケスラー提督の言葉を信じている訳でないが、捕虜に此処して、絶望に落とし入れる訳が帝国には無いと思うのだがな」
「なるほど、確かにそうと言えますが」
「しかし何だ、其れだからと言って、爺さん婆さんを人質にして、逃げるという訳にも行かないだろう」
「確かに、ローゼンリッターとしての誇りもありますから」
「それに、人の良い爺さん婆さんを殴り倒したりしたら、目覚めが悪くなりますからね」
「違いない」
そんな話を暫くしていると、世話係のお婆さんが食事の準備が出来たと伝えに来た。
「シェーンコップさん、リンツさん、食事の時間ですよ。食堂へお願いしますね」
「判りました」
「あら、ブルームハルトさんに、ディア・デッケンさんも一緒でしたか、今日は、御馳走ですよ」
シェーンコップとリンツ以外にブルームハルトとディア・デッケンが居るのを知ったお婆さんは、にこやかに食事の事を教えたくれた。
話を切り上げ食堂へ向かう四人。
「さて、今日の献立はなにかな?」
「昨日は、アイントプフ(ごった煮)にラード付きコミスブロート(パン)と果物缶だったな」
話ながら、食堂へ行くと多くの兵達がそれぞれの席について、シェーンコップ達の来るのを待ちながら雑談していた。
「凄いぞ、ワインが付いてるぞ」
「こっちは、シュバルツ(ビール)だぜ」
「懐かしいな」
シェーンコップの登場に食堂が静まりかけ声が発せられる。
「総員、起立
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