同志
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だ。
「私の見てきた人間は、全てを偽り、欲に溺れ、見えない刃で人を傷つける愚者ばかりだった」
シュランは思った。
彼女は人間の『本質』を知っていると。
彼女が見ているのは全ての人間が持つであろう・・・欲深い面なのだと。
「そんな人間を『仲間』と呼ぶのなら、私は一生孤独で誰とも関わらない事を望むわ」
そして、気づいた。
彼女は我が道のみを信じているのだと。
何も信じず、誰も信じず、ただ自分の選択と選んだ道だけを信じているのだと。
「そして『人間を知らない人間』である・・・アイツ等がこの世で何よりも愚かで、嫌いよ」
彼女は断言した。
自分と同じギルドに属す人間を、嫌いだと。
そして謎は深まる。
では、何故この抗争に参加した?
「少し、貴女達の事を調べさせてもらいました。貴女は高嶺に咲き誇る1輪の美しい薔薇の様に気高く、愚かな事を嫌い、その棘で誰をも寄せ付けない女性だという情報が入っています。そしてお仲間までも嫌いだとおっしゃる貴女が、何故この抗争に?」
女王は再び沈黙した。
先ほどより少し時をかけ、口を開く。
「愚かであり、憐れであり、醜くもあり・・・それが私の信念だからよ」
「・・・と、おっしゃいますと?」
シュランが首を傾げる。
「この争いは無意味で愚かだわ。だから参戦する気など全くなかった・・・だけれど、私の信念がそれを許さなかった、それだけよ」
「信念、ですか?」
立ち上がりかけてたティアにそう問いかけると、溜息をついてまた腰を下ろす。
もう少し、この興味ある話が聞けるとシュランは笑顔を浮かべた。
「・・・昔、私の前で自ら命を絶とうとした男がいたわ」
一瞬、頭が真っ白になった。
彼女は突然、何を言い出すのか?
「その男は結局命を絶たず、今日まで生きてきた。そして・・・その男はとある女の為に戦ったの」
「女・・・ですか?」
「はっきり言って、バカだと思ったわ。1人の人間の為にどうしてそこまで必死になれるのか、私には解らなかった」
一呼吸置き、続ける。
「そして気づいた。コイツは・・・ただ『彼女に傍にいてほしいから』、『好きだから』戦っているのだとね」
風が吹く。
帽子を押さえ、続ける。
「私から見れば、それは愚かな行為だと思うわ。人間なんていつか死ぬ者よ。その人間に特別な感情を持つ意味が解らない。どこかの本には、人間は恋をする事で心拍数が上がり、寿命が縮まるとさえ書いてあった」
そう言うティアの頭に浮かぶのは、金髪の少女を励ます青年。
呑気で、常に笑顔で、表情がくるくるとスロットマシーンみたいに変わって。
はっきり言って戦力にはならないけど、後方支援を得意とするアイツ。
「アイツは、ギルドや仲間を傷
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