同志
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ならば仕方ない。換装』
『わ、解りましたわっ!治せばいいんでしょう!治せば!』
『物分かりが早くて助かる』
クロスに頼まれ・・・正確にはクロスに脅されたからだ。
ティアの脚に治癒の蛇を巻き、傷を癒していく。
幽鬼の支配者の最強の女と言われているシュランでも、こんなボロボロの状態でクロスに勝てる訳が無い、と自分で悟っていた。
「・・・悪いわね」
「別にお気になさらず」
若干棘のこもった声でそう答えると、ふとシュランはティアに対して疑問が浮かぶ。
「あの」
「・・・何」
「1つ、お訊ねしてもよろしいでしょうか」
「くだらない質問には答えないわよ」
こんな状況でも変わらないティアに若干苦笑しながら、シュランはずっと疑問に思っていた事を尋ねる。
「貴女達のギルドの人間は全員・・・ギルドの為、仲間の為、ルーシィ様の為と戦っていました。ですが貴女は戦う理由はそのどれでもないとおっしゃる。では・・・何故この戦にご参加を?」
シュランの問いに、ティアは少し考えるように顎に右人差し指を当て沈黙する。
少しして、ゆっくりと口を開いた。
「・・・私は」
「はい」
「今回の抗争・・・どちらが勝とうとどうでもよかったわ」
「はい?」
まさかの答えにシュランは首を傾げる。
「ルーシィが実家に戻れば、ルーシィが加入する前までの生活が戻ってくる。ルーシィが実家に戻らなければ、今までと同じ生活がやってくる。私に関係しているのはこれくらいだもの」
「え・・・で、ですが、お仲間・・・なんでしょう?」
「仲間なんて他人よ」
「へ?」
ますます他のメンバーと違う答えに、シュランは「聞いてはいけなかったのか」と戸惑う。
そんなシュランを真っ直ぐに見つめ、ティアは口を開いた。
「私から言わせてみれば、どうしてアイツ等は他人を家族のように思えるのかを知りたいわ。だってそうでしょ?私から見れば、ナツもグレイもエルザもハッピーも・・・もちろん、令嬢様も他人よ。クロスは双子の弟だけれど。そして、何でその他人の為にここまで一生懸命になれるのかが不思議」
シュランは気づいた。
彼女はギルドに対しても、仲間に対しても・・・何の感情も持っていないのだと。
もし、もしも彼女の前でギルドのメンバーが死んでも、彼女は何の反応も示さないのではないかと。
だって彼女にとっては・・・他人、なのだから。
「アイツ等はすぐに人を信じ、疑わず、他人さえも仲間と呼ぶ。だけど、私はそうは思わない」
シュランは感じた。
彼女は現実的すぎるのだと。
夢を見ず、叶わぬ夢など無意味も同然、裏切る事のない真実を、現実だけを見ているのだと。
だからここまで、彼女は冷静でいられるの
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