喪失編
八話
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ケットの胸ポケットから葉巻を取り出すと口にくわえ、火を点けた。
「何なら降参してみるか?まぁ、今更降参しようがしまいお前はここで俺が殺すがな」
辺りを見渡すと多くの海兵が俺とスモーカーを囲むように武器を構えていた。
たしぎは病院にでも、運ばれたのか見当たらない。
多勢に無勢、まさに絶体絶命と言えた。
だが.....
「今のお前には井の中の蛙、大海を知らずという言葉が似合っている」
だが、そんな危険な状況でも俺は極めて冷静だった。
なぜなら空には既に太陽は無く、月の光が町を照らしていたから。
夜は吸血鬼の独壇場だ。
化物はいつも暗がりに潜み、光が沈むと現れる。
「自身を煙に変える....確かに凄い能力だ。だが、お前では俺を殺せはしないだろう」
「.....何だと?」
「お前は化物のような人間であり、俺は化物だ。そして日は落ちた。お前と俺の圧倒的な差、その違いを見せよう」
俺が言い終わると同時に海兵達が悲鳴を上げた。
「ぎょっ、魚人だぁ!!」
「凄い数だぞ!?コイツら一体どこからッ」
「じゅ、銃弾が効いてねぇ!死なねぇぞ!?」
「海軍が海賊に狼狽えるな!全員捕まえろ!逃がすんじゃあねぇぞッ」
スモーカーは慌てる海兵に激を飛ばすが、銃撃音や悲鳴に飲み込まれるようにかき消された。
「無駄だ。この慌てよう、お前の声は届きはしない」
「てめぇ.....!」
「戦いは非情だ。正義が悪に勝つなどの何の根拠もない理由で勝つのではなく、正義も悪にも関わらず実際は力さえあれば、数があれば勝てる上、俺の魚人達は質も良い。結果は分かりきっている」
そう言うと、俺は淡々と周りで起こっている戦闘と呼ぶよりは蹂躙に相応しい戦いをスモーカーに示した。
既に海軍側は防戦一方で後退を始めている。
「だからなんだってんだ?てめぇら海賊ごときに俺が負けると思ってんのか!」
スモーカーが再度煙と化して十手を振り上げ、襲い掛かってくる。
甘いな。
バシッ!
「なッ、テメェ....!」
「悪いが、それの対策はもう済んでいる」
俺はスモーカーの十手を掴んだまま体内の冷気を空気中に漂わせ、凍らせていく。
スモーカーの煙化していた体も同様にだ。
「クソッ!体が凍る.....!」
「煙も空気同様凍らせる事ができる。そしてこれでお前の体は氷という物質に変わり、攻撃が可能になった。
これにより氷ごとお前の体を」
俺は拳を振り上げ、真っ直ぐに。
「砕く」
「グハァ!?」
氷の砕ける音と共にスモーカーは広場の煉瓦壁に吹っ飛び、数メートル先の壁に体を打ち付け、動かなくなった。遠目からでも死んではいなくても、気絶しているのが分
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