第五十一話〜暗躍と契約〜
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」
「頼みがあってきました」
そう言うとライはデバイスである蒼月を取り出す。デバイスを取り出したことで臨戦態勢を取ろうとするアギトであったが、ゼストに手で制され大人しく引き下がった。
ライは蒼月に頼み、ある計画書をゼストの前に映し出す。
そこに書かれていることが先ほど言った『頼み』であると察したゼストはそれに目を通していく。終始無表情でそれを読み終えたゼストは視線をデータからライに戻し、再び問いかけた。
「俺を利用するつもりか?」
「な?!」
「率直に言えば、その通りです」
「ええ?!」
二人の言葉に驚きの声をあげるアギトであったが、二人はそのまま会話を継続する。
「俺には目的がある」
「知っています」
「君の計画に乗った時点で俺の目的は果たすことはできなくなる」
「解っています」
「……知っていて何故、俺にこの話を持ってきた」
「貴方の行動に意味がないからです」
最後に帰ってきた言葉をゼストは一瞬理解出来なかった、いやしたくなかった。
「貴方は平和を願いながら、今やっているのは自己満足の行動のみ。そこに何の価値があるのですか?」
「事情を知っただけの部外者が何を!」
ここで初めてゼストは自らの感情を表に出した。その事に驚いたのか、アギトは何も喋れなくなる。
「少なくとも貴方にはできることがあったはずだ。平和を望みながら、自分からは行動を起こさない。やろうとしているのは今の平和を維持しようとしている人を混乱させるものだ」
「俺は既に死人だ!今を生きるアイツに託そうとすることが無意味というのか!!」
ゼストのその言葉を聞いた瞬間、ライの雰囲気が変わる。
「甘えるな」
その一言で、その場が静粛に包まれた錯覚をゼストは感じる。先程まで耳に届いていた虫や鳥の泣き声が急に聞こえなくなり、それと同時にライの声がハッキリと聞こえる。
「死人であるならば、今ここにいる貴様は誰だ?」
「俺は――」
「託すと言うのは、場を引っ掻き回すことか?」
「……」
「貴様は今、確かにここに存在し、ゼスト・グランガイツとして“生きて”行動している。その行動が貴様の言う平和を乱すことであると理解していながら」
「罪を犯している自覚はある。そしてそれは、誰かが被らなければならない罪であると知っているからこそ俺は!」
「自称死人が罪をかぶるだと?笑わせるな。貴様はただ自分が思い描いた平和という妄想にしがみつく亡霊だ」
「その妄想言葉を口にすることにどれだけの覚悟が必要か知っているのか!小僧!!」
「貴様こそ、その言葉を実現するのに本当に自分だけの犠牲で事足りると思っているのか?」
ライ
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