第五十一話〜暗躍と契約〜
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に部隊を動かす。だがそれは、部隊の壊滅という彼にとっては最悪の結果を招くことになった。
ゼストの部隊が向かった違法研究所は当時活動していたスカリエッティ一味のものであった。そしてその作戦で重傷を負ったゼストは利用価値を見出され、身体の治療と引き換えにスカリエッティと協力関係を組むことになる。
ゼストが自分と自分の部下の敵とも言える存在と協力関係を組んだ目的はただ1つ。戦闘機人計画に関係を持っていたと思われる、自らの友の真意を聞き出すことである。
だが、それにも刻限が存在した。本来助かる事ができない程の重傷を負った彼の肉体は、治療を受けたとは言え、既に限界を迎えている。その為、魔法の使用はもちろんの事、日常生活を送ることすら今の彼には負担となり、残り少ない寿命を削ることになっていた。
「旦那〜!ほら、頼まれた薬湯作ってきたぞ!」
ゼストが苦しみに耐えている途中、少し離れた場所から湯気の立つカップをその小さな体で支えながら、アギトがやってくる。
彼女は、ゼストが裏で動いていた頃に違法研究所でモルモットにされていたところを彼に助けられ、その事に恩義を感じた彼女はそのままゼストとルーテシアと共に行動していた。
彼女はゼストの身体の事も知っており、何かと彼の心配をし、少しでも助けになれることは進んで行っていた。
ゼストはアギトから薬湯の入ったカップを受け取る。今はもう全盛期の頃の力強さが感じられない手にカップ越しに伝わってくる温もりがゼストには心地よく感じた。
受け取った薬湯を飲み干し、少しだけ眠りにつこうとしたその時、未だに鋭敏さを保っている彼の戦士としての感覚が、その気配を察知した。
「……」
無言で自らのデバイスである槍に手を置くゼスト。アギトも彼のその行動から警戒心を上げ、目つきを鋭くしていた。
そして気配がした方向にある茂みが揺れ、そこから二人にとっては意外な人物が顔を見せた。
「お久しぶりです、ゼストさん。それにアギト」
特徴的な銀髪を夜風で少し揺らしながら、ライ・ランペルージが二人の前に歩を進めてきた。
「お前!あたしらを追ってきたのか?!」
ライが管理局に協力しているのを知っていたアギトは声を荒げる。知り合いに罵声を浴びせられることに、少しだけ悲しみを感じるライであったが、その感情を表に出すことはせずに会話を続けようとした。
「今の僕は管理局に繋がりを持っていません。貴方たちには個人的に会いに来ました」
ライの真意が掴みきれないのか、困惑した表情のアギトはゼストの方に視線を向ける。視線を向けられたゼスト自身もライが自分たちに接触してきた理由が分からずにいた。だが、沈黙を続けることに意味がないことも理解していたために口を開く。
「……なんのようだ?
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