暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
第五十一話〜暗躍と契約〜
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きな権限を持つ高官である。彼が行った汚職というのは、主に管理局員の間引きであった。
 一部の上層部にとって使えない、若しくは使いにくい局員を過酷な仕事で合法的に使い潰す。そして仮にその過酷な仕事をやり遂げたとしても、闇討や理不尽な告発等で物理的にも社会的にも葬り去る。そんな汚職のデータ、大凡数万件が彼の目の前に流れているのだ。
 自らが築いた罪の歴史をまざまざと見せつけられている彼を放置し、青年は彼の所有する情報端末を操作し始める。
 数分間、その部屋には端末操作の音が響く。そして青年は目的のデータを抜き出し、再び地に伏した罪人の前に立つ。
 そして虚ろな表情しか浮かべることができなくなった彼に対して、青年は裁定の言葉を投げつけた。

「目的は達した。貴様は今回の事件の後、自らが築いた平和の世界で裁かれろ」



 それから数日間、管理局員の高官が立て続けに襲撃を受ける。だが、この情報自体は今回の公開意見陳述会襲撃事件が終息を迎えた後に発覚する。
 そして後に『静かな襲撃』と言われる事件の犯人を管理局が捕まえることはなかった。



ミッドチルダ郊外の森


 夜になり虫たちが囀り始める頃、森の中で1人の男が木にもたれ掛かり、休息を取ろうとしていた。
 その男、ゼスト・グランガイツは消耗していた。彼は先の公開意見陳述会襲撃の際にある目的の為、烈火の剣聖アギトと共に地上本部へ向かっていた。だが、地上本部に向かう途中、機動六課所属のヴィータとリィンフォース・ツヴァイと遭遇、交戦になる。
 なんとか2人を退けることは出来たゼストとアギトであったが、時間がかかり過ぎてしまった為に撤退を余儀なくされていた。
 そして逃亡した2人は、表向き協力体制を取っているスカリエッティとも連絡を取らずに独断で行動をしていた。

「ぐっ!……むぅ…」

 突然、身体に痛みが走った為にゼストは呻き声を洩らす。

(もう、時間がない)

 彼が自分の死に体の身体を酷使してまで果たそうとする目的とは、彼のかつての上司であり、また友人であったレジアス・ゲイズと会うことにあった。
 彼はかつて管理局地上部隊の隊長を務めていた。彼は自身の高い能力と優秀な部下を使い、局内でも一目を置かれる存在であった。
 だが、ある事件に関わることになってから、彼の人生も狂い始める。
 『戦闘機人計画』。当時、違法になったばかりであった戦闘機人の研究を続けていると言う情報を掴んだ彼は、自らの部隊を動かそうとする。だが、それに待ったをかける人物がいた。
 その待ったをかけた人物とは、ゼストと同期であり、お互いの理解者であったレジアスであったのだ。
 レジアスが待ったをかけたことに疑問を感じたゼストであったが、正式な辞令が下る前に違法研究所の拿捕の為
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