第15話「京都―決戦@」
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スマン、少し用事が出来た」
カモが言葉を言い切る前にタケルが口を開いていた。
「「「え?」」」
驚くネギたちに「スマン」とだけ告げて、今度は刹那の元に。すぐさま体の向きを変えた彼は、そのせいでネギがいつもなら人前では決して見せようとしない弱い顔を見せていることに気付かなかった。
とはいっても、それは一瞬。
次の瞬間にはいつものネギに。全員の意識がタケルに向かっていたこともあり、誰かがそれに気付くことはない。
「……タケル先生?」
どうかされましたか? といつの間にか普段どおりのクールな姿に戻っている彼女の耳元にぼそりと告げる。
「誰かがこちらを見ている」
「!?」
穏やかな顔が、真剣なものへと一転。さすがに、仕事慣れしている。焦った様子も大きな反応もせずに、淡々と受け止めている。
「おそらく、一昨日の連中」
「……狙いは木乃香お嬢様と親書ですね」
彼女の言葉に頷き、申し訳なさそうに言う。
「俺は今から用事がある、後は君達の仕事だ」
「用事?」
首を傾げる刹那に背を向けて歩き出す。
「……それは先生の傷と関係が?」
心配そうに投げかけられた言葉に、顔だけ振り返り、どこか悪戯をするような目つきで首をかしげた。
「さあ、な?」
「……え」
相変わらず表情だけは変わっていないそれだが、まるで笑っているかのような彼のその声色に彼女は一瞬だけ言葉を失ってしまった。そのままネギの頭を撫でて「頼んだ」と呟き、彼は去っていった。
しばし、ポカンとした顔の刹那が取り残されていた。
最早、見えなくなったタケルの背をそれでも視線で追いかけていた彼女は「桜咲さん?」というアスナの遠慮がちな声に「はい!?」と、慌てて我を取り戻した。
「……どうしたの、さっきからぼっとして?」
何かへんなものでも食べた? 心配そうな顔をしてみせるアスナに、カモが小さな声でネギにささやく。
「そんな、姐さんじゃないんっすから」
「ぷっ、駄目だよカモ君……ククク」
「笑うってコトは兄貴も思ってるんじゃないっすか」
思わず噴き出したネギとカモに、だが、次の瞬間にはアスナの拳骨が。
「いててて」
「……なんで僕までー?」
あくまでも緊張感のないネギたちに苦笑して、刹那はタケルの言葉を彼等に聞かせるのだった。
どうにか5班の面子から抜け出したネギとアスナは既に電車に揺られていた。ホッとしたカモとアスナ。だが、ネギの顔は一人、暗い。
それに気付いたアスナとカモが同時に首をかしげた。
「「……?」」
「――どうしてでしょうか?」
唐突に、ネギの口から本音が漏れる。
「何がっす
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