美食屋、嫁と再会し、夢語り、弟子入りをする!
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長に促されるままに喋る。漫画の世界としてではなく、実際にネルグ街の住人として。
「確かにネルグ街の出身者は犯罪者が多いし、それ以外の住民もアウトローのような生活を送っています。しかし、そうじゃない人もいるんです!」
そういって思い出す。俺を育ててくれた母親に、娼館の皆。そして俺のような青二才を兄貴としたってくれたマッチをはじめとした子供たち。
「俺は自らがその1人だという模範となります。今はグルメ時代と呼ばれるほどに美食に注目が集まっている。美食屋として有名になればネルグ街への見方が変わる。それに、美食屋になればネルグ街の子供たちに美味い物を食わせてやれます。ネルグ街出身者がグルメ犯罪に走るのは、美味い物を子供のころに食えなかったからだと思うんです。美味い物を食えば少なくとも人様に迷惑をかけようとはしないと思います」
実際、リュウさんにご飯を御馳走してもらったマッチたちの顔は印象的だった。それは漫画での彼らの表現通り、野良犬から人間へと変わったような、そんな感じだった。
「だから、俺は美食屋になりたい。ただの美食屋ではなく、人々が「あれがネルグ街のアキトか」といわれるような、ネルグ街の子供たちが目標とするような、そんな美食屋に!」
俺はそう締めくくると、会長たちの反応を待つ。俺の思いの丈はぶつけた。
最初は俺もこの世界は漫画の世界だと認識して、どこか現実味を感じなかった。だからこそ、訓練したとしても、未だ子供のうちにゴルゾーのような悪党どもを襲撃するなどという無茶を行うことができたのだと思う。
しかしネルグ街に産まれ、子供たちの面倒を見て、いつも腹をすかせているその子たちを見ているうちに、この世界が現実だとやっと認識したのだ。そしてこうも思った。なんでこいつらがこんな目にあわなきゃいけないんだと。だからこそ、俺は美食屋になりたいんだと思ったんだ。
「くくく」
俺が考えにふけっていると、目の前の会長が小さく笑い声を洩らす。そして、
「ハーーーーーーーハッハッハッハ!いい。いいぞ、アキトよ。お前は合格だ!」
へ?
「いやあ、すまんのアキトや。すこし試させてもらったぞ?」
そういうのは横から見守っていた節乃さんだった。
「どういうことですか?」
「なあに。お前さんの弟子入り試験が終わったのよ」
弟子入りって…。
そこで会長のほうをむくと、真剣な目で俺のことを見つめていた。
「のお、アキト。お前さん。わしらの弟子にならんか?」
「わしら?」
「わしと一ちゃんのことじゃよ」
そういって、前にでてきたのは、次郎
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