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ヘタリア大帝国
TURN101 偽帝その八
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「しかしだ」
「それでもだな」
「実用化しているとはな」
「枢軸のどの国も実用化には至っていないな」
「人道的な問題がある」
 平賀が言うのはこのことだった。
「どうしてもな。だからガメリカにしてもだ」
「ドクツもだな」
 こうした科学が進んでいる国でもだというのだ。
「倫理的な問題から実用化はしていない」
「ドロシー長官やレーティア総統も見送ったか」
「カテーリン書記長は実行したがだ」
「あの書記長さんだから出来ることか」
「共有主義はではそうらしいな」
 彼女が掲げるソビエトの新しい『宗教』ではというのだ。
「そもそも人間自体を国家、共有主義の細胞だと割り切っているところもあるからな」
「細胞を補充するだけか」
「そう考えているからだ」
 それ故にだというのだ。
「共有主義ではクローン人間でも実用化したのだろう」
「つまりクローンはクローンだな」
「そういうことだ、人間ではない」
「あくまで兵器か」
「そこまではいかないだろうが軍人に相応しければ軍人として用いる」
 実に割り切った考えではある、普通の国家にはないまでに。
「それだけなのだろうな」
「本当に思い切った考えだな」
「君でもそうした考えにはなれないな」
「とてもな。クローンで戦うこと自体想像出来ない」 
 こうした意味で東郷は古いと言えるだろうか、戦争は生身の人間が行うものだと考えていることを古いとするならば。
「俺としてはな」
「そうか、私もだ」
「長官もか」
「ソビエトの考えは置いておいて私も賛成出来ない」
 そうだというのだ。
「とてもな」
「他の人もだな」
「そう思う。デンキウナギの技術を入れたクローン人間とはな」
「戦力としては大きいがな」
 それはその通りだ、極端に合理的に考えればそうなる。
 そうした話をしてそしてだったのだ、東郷はここでそのウナギに問うた。
「それでだが」
「はい、私はこれからどうなるんでしょうか」
「最初に言うが危害を加えるつもりはない」
 東郷はおどおどしているウナギにまずはこのことを保障した。
「それはない」
「あっ、そうなんですか」
「君を我が軍の提督に迎えたいが」
「えっ、けれど私は」
「ソビエト軍の提督か」
「しかもクローンですけれど」
 人造人間、そしてそれだというのだ。
「それでもいいんですか?」
「どんな姿形でも心が人間なら人間だからな」
 東郷は穏やかに笑って己の持論を述べた。
「君も心は人間だな。違うか」
「いえ、それは」
 そう言われるとだ、ウナギ自身もこう返すのだった。
「私も心は人間のつもりです」
「そうだな、それならな」
「人間ですか、私も」
「それを言ったら枢軸軍には人間じゃないのも一杯いるさ」
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