デートの誘い
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イナの言葉に、怒りを向けた男が手を伸ばした。
それに対して、ライナの行動は速い。
肩に伸ばされた手を掴めば、一気に引っ張り、足をかけた。
態勢を崩した男の後頭部に向けて、肘を入れる。
「ぐぎゃっ」
男はカエルのような悲鳴をあげて、地面に倒れ込んだ。
「人数をそろえれば、勝てるとでも思いましたか。端的に――甘いと思慮いたします」
士官学校で習う陸戦技術。
ライナもまた高いレベルで収めている。
例え何人が襲ってきても、それが一般人であれば幾らでも対処ができる。
一瞬で制圧された仲間に、周囲の男達も戸惑っているようだ。
構えを解かずに、周囲を睥睨するライナの姿に、笑っていた男達も戸惑いを浮かべる。
「姿勢だけは立派だな、フェアラート。その顔が崩れるところをみたいものだ」
「馬鹿なことを」
「馬鹿は君だ」
呟かれた台詞とともに、一条の光が駆け巡る。
「っ――」
受けた衝撃に小さく悲鳴をあげて、ライナは吹き飛ばされる。
強い痛みと痺れが全身を襲い、上手く顔をあげることもできない。
地面を転がって、ようやく止まった視界で、ライナは光の方へと目を向けた。
「随分と用意周到なことですね」
途切れがちになりながら、ウィリアムが銃を向ける姿に、ライナは息を吐いた。
+ + +
ウィリアムが手にしているのは、訓練でも使われる銃だ。
出力をあげれば人を容易に貫通するし、逆に出力を押さえれば、このように人を殺さずに鎮圧することも可能である。
それがなぜ彼の手にと疑問は思うが、どうにかしたのだろう。
あるいは別に調達しておいたのかもしれないが。
無抵抗となったライナの様子に、男達が再び勢いを取り戻す。
先ほどの衝撃で服が破け、地肌を見せたライナの姿も原因かもしれない。
今にも襲いかかろうとしながら、それができないのは、ウィリアムが止めているからだろう。逆に言えば、ウィリアムがやれと言えば、男達は何のためらいもなくライナに襲いかかるに違いなかった。
「もう一度聞こう。ライナ・フェアラート、よく考えて発言をした方がいいぞ」
「下種の言葉は私には届きません」
再び一条の光が走った。
受ける衝撃に、ライナが短く息を吐く。
それでも意識を手放さなかったのは、本人の意地でもあるだろう。
この場合は意識を手放した方が良かったのかもしれなかったが。
「アレス・マクワイルドは今日は巡回責任者だそうじゃないか。助けを呼んでみたらどうだ」
ウィリアムの唇が楽しげにあがった。
睨むフェアラートに、男達が殺到する。
男の一人が、ライナの制服を力任せに引っ張った。
声などあげるものか。
ライナが唇を噛み締め、身をよじった。
瞬
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