反董卓の章
第7話 「久しぶり、白蓮」
[3/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ぼそ)雛里、兵に偽装した細作は?」
「(ぼそ)すでに周辺を探らせています。諸侯の陣容は、本日中には把握できるかと」
「(ぼそ)頼む。雛里は自陣にて指揮をとってくれ。挨拶はこっちでやる」
「(ぼそ)はい……では、失礼します」
すすす、とみんなの後ろに下がって陣へと戻る雛里。
……さすが影が薄い子だ。
誰も気づいていない。
「(ぼそ)盾二様、ひどいです」
「(ぼそ)何故に心が読めるんだよ、朱里は」
俺の傍で上目遣いに睨んでくる、俺の臣。
歴史上、最も有名な軍師であろう諸葛孔明。
「にしてもあの爺さん、遅いな……なにをしているんだ?」
「…………あの速度でも、劉表さんの軍にとっては強行軍だったようで。輜重隊などは疲れ果てていたようです」
「まったく! 軟弱なのだ! もっと肉をい〜っぱい食べて、い〜っぱい走らなきゃダメなのだ!」
「鈴々と一緒にしちゃ、あの爺さんが可哀想だ」
苦笑して、鈴々の頭を撫でる。
この元気印の弟子は、本当にむちゃくちゃな体力をしている。
義勇軍時代に手合わせをしたが、あの頃に比べると今や別人のように強くなった。
最近では、AMスーツなしでの手合わせでは、まるで勝てる気がしない。
力を利用して、なんとか引き分けに持ち込むのがやっとだ。
仙人界のお陰で、ずいぶんと勘を取り戻したと思っていたんだがなぁ。
「ともかく、もう少しここで待つとしよう。しかし……随分とここに長居している様子もあるな」
周囲を見れば、鎧を脱いで洗濯している兵士までいる。
陣の柵なども、昨日今日建てたようにも見えない。
「到着時にすでに戦端が開かれているのではとも思ったが…………一体何をしているんだ?」
思わず呟く俺に、不意に声がした。
とても懐かしい……声が。
「総大将を決める軍議をしているのさ」
!?
その言葉に、俺を含めたみんなが振り返った。
そこにいたのは……
「白蓮ちゃん!」
―― 関羽 side ――
「よっ、桃香。久しぶ――」
白蓮殿が片手を上げて、気安く挨拶しようとした時。
桃香様が飛び出し、その体を抱きしめた。
「わあっ!?」
「白蓮ちゃん、白蓮ちゃん、白蓮ちゃぁぁぁぁぁぁんっ!」
まるで泣き叫ぶように白蓮殿に飛びついた桃香様。
その様子に、真っ赤になって驚いた白蓮殿。
「ちょ、桃香!? いきなり何を――」
「うぇぇぇぇぇぇ…………ぱいれんちゃぁぁぁぁぁん」
「ああもう…………なんだよ、泣き虫だなぁ」
そう言って白蓮殿は、桃香様の背中をポンポンと叩く。
その胸の中で、桃香様は泣いていた。
その気持
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ