第四話 真相
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いを抱かせない、そう思ったんじゃないのか?」
キルヒアイスと爺さんの遣り取りになるほどと思った。
「御落胤の噂が流れたのが六月頃だ。その頃から闇の左手はハルテンベルク伯の弱みを探し続けたのだろう。そしてどの時期かは分からないが秘密を探り当てた。この時期に仕掛けたのはリューネブルクがオーディンに居ない方が、奴が戦場に居た方が都合が良いと思ったからだろうぜ」
「……」
「狙い通りさ、後ろ盾を失ったリューネブルクはあっという間に戦場で切り捨てられた。見事過ぎて溜息しか出ねえよ」
「確かに……」
リューネブルクは使っちゃいけない手を使った、その報いを受けた。爺さんはどれだけ大きくなるかで報いが変わると言っていたが大きくなる前に潰された、いや皇帝は大きくなる事を許さなかった……。少しの間、沈黙が部屋を支配した。
爺さんが太い息を吐いた。
「ミューゼル少将、そろそろ時間だ、行った方が良い」
「ああ」
席を立った俺とキルヒアイスに爺さんが“待て”と声をかけた。
「余計な事は考えるな、先ずは勝つ事、でかくなる事を考えるんだ。他の事はでかくなってから考えればいい。詰らねえ小細工はするんじゃねえぞ。お前らも敵は多いんだ、お前らが潰される時は伯爵夫人も潰されると思え」
爺さんの言う通りだ、しっかりと頷いた。
「分かった、気を付けるよ、爺さん。いやリュッケルト少将」
「上手くやれよ、期待してるぜ」
「ああ」
爺さんが立ち上がった。姿勢を正す、俺とキルヒアイスも正した。
「幸運を祈る、ミューゼル少将」
「感謝する、リュッケルト少将」
お互いに礼を交わした。爺さんが何処まで俺達の想いに気付いているのかは知らない。全部知っているような気もするし何も知らないような気もする。
だが爺さんの言う通りだ、先ずは大きくなる。そのためにもこの作戦、失敗は出来ない。
「行こう、キルヒアイス」
「はい、ラインハルト様」
俺達は必ず勝つ!
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