第四話 真相
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と爺さんが頷いた。
「オフレッサーは気付いていたな。奴はリューネブルクを嫌ったんじゃない、リューネブルクを恐れていたんだ。いずれは自分にとって代わろうとするってな」
「……」
「六年後には帝国軍大将と内務尚書だ。そしてオフレッサーも老い始めている。ハルテンベルク伯が軍務尚書に義弟を装甲擲弾兵総監にと申し入れたらどうなる? 断ると思うか?」
爺さんの質問に俺は首を横に振った。オフレッサーは必ずしも周囲から好まれてはいない、指揮官としては二流以下、ただ人を殴り殺す事で出世してきたのだ、その血生臭さを好きになる奴等居ないだろう。軍務尚書がそんな奴を庇って内務尚書を敵に回すとは思えない。俺がその事を爺さんに言うと爺さんも“俺もそう思う”と言って頷いた。
「リューネブルクを好んでいた奴が居るとは思えねえ。だが奴を潰す事は出来なかった。妙な真似をすればいずれは内務尚書になったハルテンベルク伯から報復を受ける恐れが有った。不愉快でも見守るしかなかったんだ。精々出来る事は武勲を上げる場を与えない事、そのくらいだろう。奴がグリンメルスハウゼン艦隊に配属された訳さ」
「……」
「小細工をする必要は無かったんだ。それをあの馬鹿、自分は御落胤だなどと詰らねえ噂を流しちまった……」
「それが陛下を怒らせたと?」
爺さんが頷いた。そして俺達に顔を寄せ小声で囁いた。
「陛下も俺達と同じ事を考えたんじゃねえのか、六年後をな。いやもしかすると自分の死後の事を考えたかもしれねえ。その時、御落胤の噂が生きていたらどうなるかってな」
爺さんが俺を見詰めていた。暗い眼だ、爺さんの目に映る六年後、フリードリヒ四世の死後が俺にも想像出来た。
「爺さんはリューネブルクが皇位継承に絡んでくるというのか……、しかし、ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯がそれを許すとは……」
「ハルテンベルク伯は内務尚書だぞ、連中の弱みの一つや二つ探りだせないと思うのか?」
「……確かにそうですが、……リューネブルク少将が皇位継承なんて本当に陛下は御考えになったのでしょうか?」
キルヒアイスが爺さんに問い掛けた、俺も同感だ。気が付けば俺達も小声で囁いていた。
「奴が皇位に就く事が可能かどうかは俺にも分からねえ。だがな、皇帝陛下は帝国がそれで混乱するんじゃねえかと怖れたんじゃねえかと思う。後継者が決まっていない時にそんな噂を流した事を怒ったのかもしれねえ。どちらにしろリューネブルクの奴を危険だと判断した。だからリューネブルクの後ろ盾、ハルテンベルク伯を潰す事に決めたんだ。浮上出来ねえようにな」
「……」
「リューネブルク少将を潰すのではなく、ですか?」
「下手にリューネブルクを潰すと御落胤の噂に真実味が出かねない、奴本人よりもハルテンベルク伯を潰す方が変な疑
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