第三話 臭い
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速! ミサイル艇を撃破せよ!」
俺の命令とともに艦隊が第二次攻撃をかけようとするミサイル艇に近付く。射程内に入る、そう思った時だった。
「閣下! リュッケルト艦隊が先に」
「何だと?」
オペレーターの声に愕然とした。気が付けば爺さんの艦隊が俺の艦隊の前に出ている。何時の間に? ミサイル艇には俺の方が近かったはずだ。俺よりも先に動いたのか? いや、それよりも何故だ? 爺さんも反乱軍の作戦を見破ったのか? あの時はそんなそぶりは無かった、あれは嘘だったのか? キルヒアイスも愕然としている。
爺さんの艦隊がミサイル艇の側面を攻撃した。防御の弱いミサイル艇はあっという間に爆発していく。艦内のミサイルも誘爆したのだろう、凄まじい火球が両軍の間に出現した、一方的な攻撃だ。爺さんから通信が入ったとオペレーターが報告してきた。正面のスクリーンに爺さんの顔が映った。
『悪いな、ミューゼル少将。獲物は先に頂いた』
「……」
『この先だが並んでは攻撃出来んな』
「ああ、そうだな」
そして爺さんの方が敵に近い。負けた、そう思った。俺だけかと思ったが爺さんも反乱軍の作戦を見破ったのだ。俺と同じ事を考えている。
『お前さんが行け』
「何?」
『俺はここまでだ。この先はお前さんが行け』
「俺に譲るというのか?」
『元々お前さんの獲物だ。元の持ち主に返すだけさ、急げよ』
爺さんはウインクすると通信を切った。
爺さんの艦隊が速度を落としている、冗談ではないようだ。譲られたのは不本意だが反乱軍を撃破する機会を失うわけにはいかない。速度を維持したまま天底方面から反乱軍本隊を攻撃した。
「反乱軍、混乱しています!」
オペレーターの報告に歓声が上がった。反乱軍は効果的な反撃が出来ないのだ。俺を包囲しようと艦隊を動かせば要塞主砲トール・ハンマーの射程距離内に踏み込んでしまう、それを避けるには縦長の陣形で俺と戦わなければならない……。俺の戦力は二千二百隻、反乱軍の戦力は十倍は有るだろう。だが要塞主砲の存在が反乱軍に無理な陣形を強いている……。
少数の兵力でも十分に戦う事が出来る。爺さんはそれも分かっていた、“この先だが並んでは攻撃出来ん”。今心配なのは反乱軍よりも帝国軍だ。反乱軍は無防備な側面を晒している。この側面を突こうと要塞から艦隊が出撃してくるかもしれない、しかしそうなれば反乱軍は予備を投入して混戦状態を作り出すだろう、そして正面の反乱軍は俺を包囲殲滅しようとするはずだ。
三十分ほどの間俺が優位に戦闘を進めていると帝国軍が要塞から出撃してきた。やれやれだ、ミュッケンベルガーは戦争は下手だな、爺さんの方が余程上手い。そう考えているとその爺さんから通信が入った。
『残念だな、ミューゼル少将』
「ああ、ここまでのようだ」
爺
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