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銀河親爺伝説
第三話 臭い
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艇を使っての攻撃か。面白い作戦だ、爺さんの言う通りだ、連中は勝算有りと見てこの要塞に押し寄せたのだ。残念だな、俺がいる限り要塞が落ちることは無い。ミュッケンベルガーに出撃の許可を取りキルヒアイスと旗艦タンホイザーに向かう。後ろから声が聞こえた。

「よう、出撃か、頑張るな」
爺さんだ、俺達に声をかけてくる人間など爺さんくらいしかいない。振り返ると爺さんが近付いて来るところだった。
「俺もこれから出撃だ」
キルヒアイスと顔を見合わせた。爺さんはまだ訓練だけで戦闘はしていない。ようやく出る気になったのか、それとも……。

「上から何か言われたのか?」
「違うよ、どうも嫌な予感がするからな、外に出る事に決めた。中に居るより外の方が安全そうだ。いざとなったら逃げられるからな、足だけは確保しておかねえと」
爺さんが俺達を見てニヤッと笑った。相変わらずだ、とんでもない事を平然と言う。ミュッケンベルガーが聞いたら目を剥くだろう。

「外れじゃ無かったようだ、お前らが出るんならな」
「どういう意味かな?」
「良い事を教えてやる。こういう嫌な予感がする時はな、出来る奴、運の良い奴を見習えって事だ」
「……」

なるほど、と思った。爺さんは反乱軍の狙いを見破ったわけではないらしい。だが何かがおかしいと見て外に出るのだろう。臭いだな、と思った。爺さんは嫌な臭いを嗅いだようだ。可笑しかった、キルヒアイスも可笑しそうな表情をしている。

途中で別れ俺はタンホイザーに爺さんは自分の乗艦エルバーフェルトに向かった。俺はキルヒアイスと一緒だが爺さんは一人だ。爺さんには副官が居ない、なり手が居ないそうだ。兵卒上がりでこの先出世するとも思えない、周囲はそう思って人事局からの打診に辞退しているようだ。爺さんも無理に求めようとはしない。こういう事も爺さんが後方に下がろうとしている一因かもしれない。馬鹿馬鹿しくなったのだろう……。

要塞の外で待機する。反乱軍も帝国軍も要塞主砲トール・ハンマーの射程距離のラインでぎりぎりの駆け引きをしている。反乱軍は帝国軍を引き摺り出そうと、帝国軍は引き摺り込もうと。但し反乱軍の動きは陽動だ、本命のミサイル艦はまだ動いていない。俺は駆け引きには参加せず静かに時を待った。爺さんも動いていない、年寄りは疲れるのは御免だ、そんな事でも考えているのだろう。

暫くの間、反乱軍が動くのを待つ。いい加減焦れて来たころ、そろそろとミサイル艇が動き出した。
「キルヒアイス、来たようだ」
「はい」
念のため全艦に油断するなと命令を出した。もう直ぐ、もう直ぐ反乱軍は動く筈だ……。

五分、……十分、……十五分、……動いた! ミサイル艇が急速接近し要塞めがけてミサイルを放つ! 要塞の外壁が爆発して白い閃光を噴き上げた!
「全艦最大戦
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