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とある星の力を使いし者
第106話
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示した氷の書類が、鈴を鳴らすような警告音を発した。
「女王艦隊」を示すチェスのような駒の群れの下方から、一つの駒がこちらへ急速に近づいてくる。

「ビショップ・ビアージオ!!」

「見えている、詳細の説明を。」

叫ぶと、空気が直接振動したような声が返ってきた。

「アドリア海ヴェネツィア湾南部より近づく影が、一つ!
 速度はかなりありま・・・・・そんな、ありえない・・・・」

「どうした?詳細の説明を続けろ。」

信じられないような物を見たような表情を浮かべるシスター・アガター。
彼女の視線は一枚の海図に集まっていた。

「近づく影があるのですが、その影は人によく似ています。」

「それがどうかしたのか?」

「その影は時速三六〇キロ・・・いえ、もっと速い速度で近づいているのです!!」

「なんだと・・・」

その言葉にビオージアも驚きの声をあげる。
なぜなら、人間がそれだけの速度を出す事など到底不可能だからだ。
何かの間違いでそれだけの速度が出せたと仮定しよう。
そんな速度を出せば、空気摩擦などの問題にぶつかり、一瞬で身体はこなごなに吹き飛ぶだろう。
これは聖人でも変わりない。
だからこそ、彼女は信じられないような表情を浮かべていたのだ。

「あと、どれくらいで接触する?」

「あ、あと、三〇秒ほどです。」

「何かは分からんが、撃ち落せ。
 可能か?」

「か、可能です!
 第二五から三八番艦までは砲撃可能な位置です!」

「手早く撃ち落せ。
 何かは正体が掴めないが、接触する事は許さん。」

「りょ、了解です!!」

その指示を受け、全艦に状況と照準を伝令する。
だが、彼女の胸の中には言い様の無い不安があった。
もし、あれが本当に人間だとしたらそれは人間ではない。
人の皮を被った別の何かだ。
テーブルの上に新たな氷の書類が浮かび上がり、「女王艦隊」の配置図や砲の射線などが表示される。

「およそ二〇秒で影は本艦隊に接触します!
 それまでに撃沈を!!」

胸に不安が残るが、それだけで砲撃を止めるわけにはいかない。
指示を出した瞬間、爆発音が彼女の鼓膜を連続で叩く。
「女王艦隊」から無数の砲弾が射出されたのだ。
アガターが別の氷の書類を呼び出す。
それはこの夜の海を現した地図のようなものだ。
これで目標が撃墜されたか確認する。
それを見た、アガターは今度こそ自分の目を疑った。

「げき・・ついされてない。」

思わず声が出てしまった。
あれだけの砲撃を受けて、その人影は勢いが衰えるおろか、さらに速度を上げていた。

「何がどうなっている。」

そう呟いた瞬間、凄まじい音と衝撃が伝わってきた。
人影が近くの「女王
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