第106話
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、ルチアではなく建宮に話しかける。
「え、えっと・・大体四〇隻くらいだな。」
「充分だな、それらを囮に使って近くの「女王艦隊」に乗り込め。
俺が撹乱しているとはいえ、保険はしておいていいだろう。
そうだな、囮に使う船には火薬船として突っ込ませろ。」
「お、おお、分かったよな。」
少し戸惑いながらも建宮は頷く。
勝手に話を進める麻生を見たルチアはさらに苛立っていく。
「いい加減にしてください!
前の「法の書」の一件で貴方の力を見せつけられました。
ですが、今回の相手はそれとは比べ物になりません。
勝手な行動は迷惑なのですよ!」
声を荒げて麻生に言う。
アンジェレネはオロオロしながらも今にも襲い掛かりそうなルチアを押えつける。
上条とインデックスは麻生が何を考えているのか分からないので、下手に手を出す事ができないでいる。
その時、不思議な事が起こった。
突然、麻生の身体が浮いたのだ。
何か魔術を使ったわけでもない。
現にインデックスですら何が起こっているのか分からないでいる。
「黙って武器の準備でもしていろ。
嫌でも自分の力を使う必要があるんだからな。
それと、ルチア。
お前は俺が撃墜されると言ったな。」
「そ、それが何か?」
浮いている麻生に視線を向けながらルチアはその眼を真正面に受け止める。
「安心しろ。
手伝う以上、アニェーゼは助ける。
ローマ正教が学園都市に攻撃するにしろ、しないにしろそれは絶対だ。
俺が約束しよう。」
麻生の言葉に何故かルチアは反論できなかった。
麻生の言っている事はもの凄く曖昧だ。
あの艦隊相手に絶対に勝てる戦力はこちらにはない。
むしろ、こちらが負ける要素の方が確実に多い。
それでも、その言葉は何故かとても安心してしまった。
それはルチアだけではない。
アンジェレネも上条もインデックスも天草式全員が同じ事を思った。
そのまま麻生は背を向けると、暗い海に向かって素早く移動する。
風を利用しているのか、麻生が動き出した瞬間、大きな水しぶきが上がった。
「さて、我らも準備するよな。」
建宮の言葉を皮切りにそれぞれ急いで準備を始める。
その中、ルチアとアンジェレネはじっ、と暗い海を見つめていた。
「女王艦隊」四三番艦は索敵に特化した情報艦だ。
そこに常駐するシスター・アガターは甲板の最先端部にある巨大な舵の前で息を呑んだ。
舵の両脇には小さなテーブルがあり、そこには氷でできた書類がいくつも張り付いている。
古い羊皮紙を模した薄い氷の板の上には。地図や海図から船の状態まで、様々な情報がリアルタイムで表示されている。
その内の一つ。
アドリア海近辺の海図を表
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