第105話
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角の料理だ無駄にするわけにいかない。
五和は深呼吸をして、麻生に近づいていく。
天草式のメンバーはそれを黙って見守る。
「あ、あの・・・どうぞ。」
先程と比べて落ち着いたが、まだ顔を赤くしながら料理の入った皿を麻生に渡そうとする。
麻生はその料理の皿をチラリ、と見て。
「いい、腹は減っていない。」
そう言って拒否する。
別に麻生の言葉はいつも通りだ。
それほどきつい言葉でもない。
それでも、五和の胸にはグサッ、ときた。
眼尻に若干涙を溜めて哀しい表情をして、五和は皿を持ちながら下がろうとする。
五和の表情を視界の端で捉えていた麻生は、ため息を吐いて五和が持っている皿を横から取る。
驚いた表情をして、五和は麻生の方に視線を向ける。
「気が変わった。
ほら、食べるから建宮達の所に戻れ。」
気まずそうに視線を逸らしながら、麻生は背を向ける。
だが、ちゃんと食べる音が聞こえる。
さっきの表情はどこにいったのか、少し照れながら建宮達の所に戻る。
「まずは、アニューゼって人が囚われているっていう、あの艦隊からだね。」
そんなこんなで、情報整理と作戦会議が始まる。
「多分「アドリア海の女王」を守る「女王艦隊」だと思うけど、間違っていないかな?」
インデックスが頭の中にある一〇万三〇〇〇冊の魔道書から知識を取り出して言い当てる。
ルチアとアンジェレネは一発で言い当てられギョッとした顔でインデックスを見る。
「は、はい。
具体的には、私達も「アドリア海の女王」がどんなものかは分からないんですけど。
こちらには理解できないぐらい凄い施設だったんだって、思います。」
「私達は「法の書」の一件で貴方達に敗北した後で、その叱責を受けて前線から外されました。
ローマ正教が受けた負債を返すという名目で、あの「女王艦隊」で働かされていたのです。
と言っても、与えられるのは端的な命令ばかりで、具体的に自分が何に貢献しているのかも掴めない状況でしたが。」
ルチアが続けて言う。
アンジェレネの取り皿に野菜ばかりを入れて差し出すと、小さな修道女は泣きそうな顔でルチアを見返した。
当然、背の高いシスターは気にも留めない。
「働かせていたって、何やっていたんだ?」
上条が首を傾げながら尋ねる。
「わ、私達は海水から風を抜く作業を割り当てられていましたけど・・・・」
「は?風って???」
「あ、いえ、その。
風と言っても、魔術的な意味での風です。」
(マジュツ的なイミでのカゼ?)
と上条は眼を点にした。
何がどう違うのかサッパリ分からない。
すると、もう料理を食べたのか皿を戻しに来た麻生がやってくる。
「そうだ、麻生。
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