第105話
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と、背の高いルチアが少し落ち着きのない様子で周囲を見回す。
「ご一緒したいのは山々ですが、私達はこれからシスター・アニェーゼの所へ戻らないといけないので。」
「今すぐ行っても無駄なのよ。」
建宮はあっさりと切り捨てる。
「我らがさんざんかき回した後なのよな。
連中だって警戒態勢を解いちゃいねえのよ。
まずは時間を置かなくちゃならねえ。」
という訳で、暗い海をバックに遅めの夕食の準備が始まった。
流石に紙束をばら撒いて料理が出てくる事はなく、こちらは金属製のキャンプ用の調理道具を取り出すと、天草式の少年少女達は手早く作り始めた。
料理を作る人達を眺めていたアンジェレネが言う。
「私はコーヒーとか紅茶よりも、チョコラータ・コン・パンナが良いです。」
「何それ?」
「あ、知らないんですか?
チョコレートドリンクの上に生クリームがたっぷり乗った飲み物なんですよ。
基本はエスプレッソを使うんですけど、私はチョコの方がアギュッ!?」
得意げに激甘ドリンクの説明を始めたアンジェレネの頭を、隣にいるルチアが上から押さえつけた。
「シスター・アンジェレネ・・・・。
貴女は先程から少し警戒心が薄すぎますよ。
彼らとは一時的に協力しているだけです。
それと甘い物への執着も断てとさんざん注意したはずですが。」
ルチアの怒り方に、むしろ上条が戸惑った。
「そこまで言わなくても。
大体シスターさんってみんなそんな感じじゃねえの?」
「何を基準にそんな台詞を言っているのですか?
修行中のシスター・アンジェレネを十字教徒全ての見本にしないでください!!」
信じられないものでも見るような顔で叫ばれたが、それに対してインデックスが気まずそうに眼を逸らした。
ちなみに横ではオルソラが、まな板の上からもらってきたのか薄い生ハムを食べて。
「あら、美味でございますよ。」
とか何とか言いながらモクモク食べている。
やはりみんなそんな感じかもしれないと、上条は思った。
そうこうしている内に料理ができた。
建宮に勧められる形で、上条達はテーブルに着く。
だが、麻生だけはその集まりから数メートル離れて、建宮達に背を向けて暗い海を見つめていた。
「お〜い、お前さんは座らないのか?」
建宮は背中を向けている麻生に聞く。
麻生は少しだけ顔をこちらに向けて言う。
「必要ない。
勝手に話を進めておけ。」
どうやら一緒にご飯を食べながら話を聞くつもりはないようだ。
そんな中、五和は一つの料理が入った皿を両手で持ちながらオロオロしていた。
それは麻生の分の料理だ。
渡そうとしたが、何やら不穏な空気を感じ取ったので渡せずにいた。
しかし、折
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