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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第76話 名付けざられしもの
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ルのようなモノを纏って人々の前に登場するし、黄衣の王も黄色の衣装と青白き仮面を被って登場すると言われていましたか。
 そんな、少し意識がトリップし掛かった瞬間を見逃す事もなく、先ほどと同じように……。それこそ、地点と地点の間を切り取って結ぶかのような、双方の距離と言う概念を一切無視した動きで接近して来たナナシが、俺の目前で右手の偃月刀を一閃。そして、そのまま遠心力を利用、半回転して来た左手内の偃月刀で更に一閃!

 僅かなタイムラグを利用しての連続攻撃を、最初の一閃は微かに上体をぶれさせるだけで回避。次の一閃は、上体をやや前傾姿勢にしたまま脚だけを屈めるようにして回避。
 その瞬間。周囲に瞳を開けて居られぬほどの光輝が閃き、僅かに遅れて轟音が響き渡った。

 それは俺の生来の能力で呼び寄せられた雷公の腕(いかずち)
 しかし、それは攻撃を行う為に召喚された訳でもなければ、まして、牽制の為に呼び寄せられた訳でもない。

 何故ならば、召喚された雷公は、その腕を大地に振り落す事などなく空中の有る点に集中。そして、そこから黒焦げに成った何か。先ほど、タバサが放った釘を迎撃する時に使用された優美な反りを持つナイフ(ジャンビーヤ)が落ちて来たのだ。
 そう。俺とタバサに接近する瞬間に、常人には……否、警戒していなければ俺でも感知出来たかどうか判らない極微量な魔力で現出させた数本のジャンビーヤを、自らを囮と為す事で上空から必殺の攻撃を行わせようとしたのだ。

 バルザイの偃月刀による二閃を、そして、ジャンビーヤによる奇襲攻撃すらも防がれ、
 左右、双方の鈍く光る刃が空を切り、更なる攻撃に移る為にその場で独楽のように高速で回転を行うナナシの青年。

 但し!

 但し、そんな無防備な状態で居る敵を見逃す訳はない。まして、この状態。一瞬の隙を作る為に俺が囮と成って前に出たのです。
 左腕のバルザイの偃月刀を躱した際に身体を完全に下げた俺の右肩を踏み台にして、背後から何かが飛び出した。
 神速を持ち、砲弾の如き破壊力を秘めた霊刀が、タバサの霊気の高まりを受けて更なる輝きを放った!

 そう。この時タバサは、霊刀を突き出す形で正面から回転を行って居る最中のナナシの青年の身体を貫こうとしたのだ。
 これは当たるべくして当たる一刀。俺の肩を踏み台にした瞬間、俺の生来の能力でタバサの勢いに更なる上乗せを行った以上、ナナシの青年の回転は間に合わないはず。

「門にして道なるモノよ、我が嘆願を聞き入れ給え!」

 しかし、タバサの放った必殺の突きがナナシに到達したかに見えた正にその瞬間、先ほどから唱えていた呪文。召喚呪文がひとつの形を成した。
 その刹那。前に進み続けるだけで有ったタバサのベクトルを、俺の生来の特徴。重力を操る能
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