【冥王】と冷たきものども
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に取り込まれていた事を知っている人はどのくらいいるだろうか?
それも、今戦っているまつろわぬアフーム=ザーの生みの親であるクトゥグアの宿敵、先日草薙護堂が弑逆したばかりのナイアーラトテップの化身の一つとして、だ。
誰も気にしなかった。そう、張本人である、ジョン・プルートー・スミスでさえ、自身が倒した神を、『アステカ神話』のテスカトリポカだと信じて疑わなかった。そちらの方が有名だからだ。そもそも、『アステカ神話』のテスカトリポカだろうが『クトゥルフ神話』のテスカトリポカだろうが、どちらにしろ変わらないのだ。設定が同じなのだから。
・・・ナイアーラトテップの化身の一つ、という設定以外は。
神々は、現代の設定に引っ張られるというのは、数年前のアーサー王の事件と先日の一件で証明済みだ。クトゥグアとナイアーラトテップが、日本のライトノベルのヒロインたちの姿で登場しているのだから。
まつろわぬテスカトリポカが、クトゥルフ神話の設定を取り込んでいたとしても、不思議でも何でもなかった。
今までは、『狂気の権能に抗う』などという事態にならなかったから知らなかっただけ。それを、古くからの友人である妖精博士ジョー・ベストに指摘されたとき、彼は自身の権能を完全に掌握した、と感じた。
(十年以上もこの権能を使用してきて、様々な応用もこなしてきた。完全に掌握した実感が無かったのが不思議だったが、まさか隠された能力があったとは!)
使う機会が無かった『狂気の権能の無効化』。それを持っていることを自覚したことで、彼は権能の掌握に成功したのである!
(しかし、狂気の権能を無効化出来るとは言え、時間が経てば経つほどにコチラが不利になるのは変わりない。それに、攻撃手段が限定されるのが、こうまでやりにくいものだとはな!・・・フフ、貴重な経験ではないか!)
実体がない敵というのが、ここまで厄介なものだとは。物理攻撃無効化というだけで、手札が大きく制限される。
身体が灰色の炎で構成されるアフーム=ザーに通用する手札は、現在使用している第一の化身《大いなる魔術師》、そして魔弾の射手のみ。その他は物理攻撃しかないし、第三の化身《殲滅の焔》は《太陽》の属性である。《炎》の属性も持つこの神には通用しないだろう。
(・・・フム、どこで仕掛けるべきか・・・)
しかし、攻撃力だけで言えば、彼は過剰戦力を有している。一つ二つの手札を封じられたからといって、どうということでもない。ただ、やりにくくなるだけなのだ。
激戦は、まだ続いている。
《ハァ!》
彼が放ったのは渾身の力を込めた雷撃だったが、神々の戦いにおいて、数回見せた技がそうそう通用する
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