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悪霊と付き合って3年が経ったので結婚を考えてます
1年目

冬A〜光〜
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はずなのに「彼女」は何かを察したかのようにその日だけは“頑張ってね”と言い俺を送り出してくれた。

―――まずは愛華を探さないと。

俺は寒空の下、大きく一歩踏み出した。











 はじめに愛華の家へと向かった。呼び鈴を鳴らすが、出た相手は愛華の家の家政婦を名乗り“愛華は出かけた”と教えてくれた。その言葉に少し落胆しながらも“ありがとうございます”と呼び鈴越しにお辞儀をし、愛華の家を後にした。それから、駅前、公園、スタジオ、CDショップ、ゲームセンター、はたまた愛華が通う学校と愛華が行きそうなところをくまなく探したが、その姿はどこにも見当たらなかった。
……どこに行ったんだよ。
 そう呟いた時だった。俺の目にはキャップ姿の見慣れた人影が映った。

「隼人!!」

そう呼びかけながら駆け寄ると、驚いた様子を見せながらも隼人はこちらへ向かって歩いてきた。

「拓海、何してんだよ、こんなところで」

「そんなことより、愛華見かけなかったか!?」

「愛華?あぁ、さっきまで一緒にいたよ」

 その言葉に俺は隼人の肩を両手で掴み、揺さぶりながら“どこだ!?”と問いかける。
“痛いって”とその手を振り払われ、ハッと我に返り“わるい”と謝った。

「愛華が急に辞めちゃったから僕も心配してさ。前に一緒に行った楽器屋の近くの店に行って二人で飯食べながら色々話聞いてたんだ。」

そこまで聞いた俺は隼人の肩を叩き“サンキュー”と言うとその場所に向けて走り出した。

「でも結構前だからもう居ないかもしれないよー!!」

背中からそう付け加えられたが少しでも可能性があるならと形振(なりふ)り構っては居られなかった。

 しかし、店の前まで行っても、そこに愛華の姿はなかった。
まだ遠くには行ってないはずだ、とあたりを探しまわってはみたが、一向に愛華を見つけることは出来ずにいた。
 その時には次第にあたりは暗くなってきており、街のイルミネーションにも光が灯り始め、元々賑やかだった街もより活気を増していく。
……もう一度愛華の家に行ってみよう。
 そう思い、元来た道へと歩き始めた。

 駅前に差し掛かるころ、そこには昨日まではなかったはずの大きなクリスマスツリーがあった。燦然(さんぜん)とした輝きは周りの空気を凛とさせ、どこか絵本の中に迷い込んだような感覚を覚える。まるで灯りに集まる虫のように、そんな光に(いざな)われた多くの人達がツリーの周りを取り囲む。その中に俺がずっと探し求めていた“光”を見つけた。

「愛華!!!!」

街ゆくたくさんの人が振り返り見てくるが、そんな視線を感じないほど俺はその姿にしか興味がなかった。

「……っ!」

すぐさま俺に気付いた愛華
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