反董卓の章
第6話 「伊達に毎日走らせてはいないのだ!」
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―― other side 涼州武威 ――
西涼と呼ばれる北西の地。
少し馬を飛ばせば、始皇帝が築いたとされる万里の長城が見える場所。
そんな平原と農牧の地にも街はある。
涼州で最も大きな城郭、武威。
その城にある、本来は罪人を捕らえている牢獄内。
普段は、盗みや殺人などを犯した罪人が裁きを待つ、静かな場所に。
怒号が鳴り響いていた。
「あたしゃ、いーやーだ!」
「大姫! いつまで駄々をこねておいでか! これは義なのですぞ!」
「ジジイどもが何を言おうと! あたしは董卓殿の恩義を優先する!」
「何度言えばわかるのです! その董卓が小帝陛下を殺して、漢を乗っ取っておるのですぞ! これを正すことが義でありましょう!?」
「あの董卓殿がそんなコトするわけがないだろ! 全部、踊らされているんだよ!」
「その証拠がどこに!?」
「じゃあ、踊らされてない証拠はどこにあるんだ!?」
『『 うううううううううっ! 』』
「…………ダメだ、こりゃ」
木の格子を挟んで叫び合うその様子に。
後ろで様子を見ていた小さな人影が溜め息を漏らした。
「小姫! なんとか言うてくだされ!」
「小姫言うなぁ! あたしちっちゃくないもん!」
今したがたまで木格子越しに睨み合っていた老人が、小さな人影に振り向き叫ぶ。
その人影も、叫びつつも木格子越しに、中にいる人物へと目を向けた。
「…………お姉さま。確かに董卓って人には恩義があるけど……事ここに至っては、どうしようもなくない?」
「どうしようもない!? どうしようもないだって!? 蒲公英、お前だって董卓殿に恩義がありながら――」
「だ・か・らぁ! どーしてそう、直球でしかもの考えられないわけぇ? 例えそれがホントでも嘘でも、もう連合で戦うことは決まっちゃてるんだよ!?」
「わかってるさ! だから董卓殿の元に馳せ参じ――」
「おば様や韓遂のおじさまが、董卓に義なしと断じているのに!?」
「うっ…………」
木格子の中にいた人物の言葉が、思わず詰まる。
「書状は真実って、劉虞とかいう別の皇族まで認めているんでしょ!? 大義名分があるのはそっちじゃん!」
「だ、だけど、それはなにか…………何か訳があって!」
「それを否定できる証拠があるならたんぽぽだって信じるよ! だけど、その証拠は? 傀儡だって言われちゃった献帝陛下だって、何も周囲に正式な書状を出していないのに?」
「うう…………」
「おば様は征西将軍! 立場があるんだよ!? その上で漢の危機だって、これだけ全土に噂が広まっちゃったら……それに加担するか、歯向かうかで涼州の――西涼のみんなの今後が決まるって、本当に
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