第四話 はじめての試合ですか
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いま俺の目の前には一人の少女がいる。
艶やかな黒髪に整った顔立ち。
意志の強そうな瞳は赤く、まるで宝石のような輝きを宿してる。
まさしく絶世の美少女といっていいだろう。
…口元に浮かべる捕食者のような笑みがなければだが。
「やっちゃえ〜四季〜!」
道場の隅から、川神院の師範代や修行僧の傍にいる小雪の声援が聞こえてくる。
気楽にいいやがって、目の前にいる女はそう簡単にいくほど甘くないっての。
俺が心の中で愚痴ってると、
「そろそろいいかのお、四季君や。」
この道場の主であり、トビウオの常連の一人でもある川神鉄心さんが俺に訪ねてきた。
「あ、すいません。もう大丈夫です。」
「ふむ、ならば両者位置についてえ!」
鉄心さんの声で、俺と黒髪の少女は位置につく。
俺は目の前の少女を見ながら考える。
「これより、鬼道流、篠宮四季と、
川神流、『川神百代』の試合を行う!!」
(なぜ、こうなった・・・・・・。)
小雪が家の子供になってから数カ月。
俺も六歳になったが、
割と平穏な日々を送っている。
小雪を忠勝たちに紹介したり、小雪と新しい料理に挑戦したり、父さんから鬼道流の奥義を教わったり、まあ比較的平和な日々だった。
そんなある日、
「他流試合?」
「そ、前に四季ちゃんいってたじゃない?自分の今の強さがよくわからないって。」
ああ、確かにそんなこといった気がする。
しかし、
「よく相手が見つかりましたね?」
実際はわからないが、鬼道流なんてあまり知名度がなさそうな流派。相手にしてくれそうなところなんてなさそうだが。
「ああ、それなら大丈夫。うちの常連の鉄心ちゃんは知ってるわね?」
「?ええ、知ってますけど?」
“川神鉄心”。
うちの常連の一人で、父さんとは、「奉山ちゃん」「鉄心ちゃん」とよぶなかで、俺もお小遣いやお菓子をもらったりと、可愛がってもらっている。
しかし、普段の態度からは想像もつかないが、かつては世界最強とも呼ばれた武術家で、現役を引退した今でも、その実力は健在らしい。
今はこの川神市で、後進の教育に熱をいれているようだがって、まさか!
「父さん、まさかとは思うが、その他流試合の相手って。」
「察しがいいわねえ。そ、他流試合の相手は、
川神院よ☆」
・・・・・・おーまいごっと。
【川神院】
日本三山の一角に数えられる武術の最高峰ともいえる道場。
その強さは、ただの修行僧でもそ
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