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不可能男との約束
肉の晩餐会
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そうなるし、何よりも力を見せなかったというのが大きい。お蔭で一部は彼のある事ない事を作って疫病神みたいな扱いをしている人間もいるのだろう。
まぁ、そんなのはどこの教導院でも少しはある問題なのだろう。それに問題といっても本当に一部だ。それこそ、役職者や襲名者によくある関連の問題だ。やっかみなんて気にしちゃいられない。

「まぁ、でもそこら辺は三河で力見せたからイメージ回復は結構していますよ?」

「よく知ってるなぁ」

笑って言われたことにちょっとだけ息を詰める。
ああ、クソ、ミスった。
この人も何だかんだ言って武蔵アリアダスト教導院の人なんだから捻くれているに決まっているだろうが。

「……別に。ただの書記として総長連合と生徒会の風評について調べた時に知っただけですよ」

「じゃあ、そうなんだろうねぇ」

話を変えようと思う。
隙を一度見せてしまったのなら、そこからの挽回は中々難しいものだというのはよーく学習している。

「まぁ、熱田君はそういう人に対してはオリオトライ先生が放置なら、熱田君はもう怖いくらい甘やかしてくるんですよね……学長先生は気づいていましたか? 彼、ミトツダイラ君にはかなり甘いでしょ?」

「ああ。確かミトツダイラの母ちゃんの事件以降からだったかね? 流石の俺も引いたね、ありゃあ。まぁ、ダっちゃんみたいな例外も人間でいるから驚くことはなかったけど」

「自分はそこにはいれないんですか?」

「おいおい……俺はもう現役を引退しているし現役の頃もそういうのはダっちゃんにやらせてたからね。年寄りの楽しみの一つは記憶を美化することだけど俺だって限度ってぇのがあるよ」

「じゃあ、そういうことなんでしょうね」

お互いに苦笑の形を張り付けて言葉を交わす。
ある意味で、僕にとっては久々な休暇みたいな感じがする。被害妄想逞しいなっと内心でも苦笑を深めながら話を続ける。

「だから、まぁ、ミトツダイラ君からしたら堪ったものじゃないっていう状態じゃないですかねぇ。熱田君の甘やかしって何だか、もう直感とかに頼らなくても裏があるって簡単に思えますから」

「愉快な信頼関係だねぇ」

余り答えたくないので無礼であるとは思うが、言葉を被らせてもらう。

「いや、だって何となく彼の嫌味が伝わってくるんですよ───別にそんなの俺に全部預けてもいいんだぜって」

そんな裏の意味をつい読み取ってしまったら

「意地でも張り合うしかないじゃないか……」

分かっててやっているのか、天然でやっているのか。
微妙な所だと思う。
だから、まぁ、ナルゼ君みたいな負けず嫌いは意地でもそういうのを熱田君に預けたりはしないだろう。
熱田君のこれ(・・)の被害にあっていないのは、恐らく葵姉弟に浅間
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