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不可能男との約束
肉の晩餐会
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ても何となく解る。そういった経験からこの焼肉会場の大量の人間の足音から読み取った。とはいってもやはり、そうかな? レベルの読みだろう。
一番の補強材料は恐らく風である。
人が走る事によって発生する風の流れ。それも、この場合は強化された人体が生み出した強風だ。
細かい場所はともかく大まかな位置くらいは掴め、そして音で更に位置特定を補足する。
基本中の基本の行動予測の足掛かりだが、あの状態でそれを冷静かつあそこまで特定できるのが凄まじい。
見事で御座るな、と素直に賞賛できる。
ならば、逆にこれからを括目してみなければと思う。
まだ、熱田殿がまともに戦っているところをこの目で見たことはない。訓練で動きは見ているが実践と訓練はやはり違うというのは普通だ。
宗茂殿との戦いは映像としては見ているが、やはり生で見るのと映像で見るのは違う。

……どうするで御座るか!?

彼の体勢は今は前屈みで、彼女の背後から襲いかかるような姿勢を取った直後だ。
あれでは横や後ろに跳ぶのは難しいだろうし、上など以ての外だろう。
なら、自分ならばどうする? と思ったところで

「───」

剣神が動いた。





へぇ、と直政はその判断に素直に同意する。
熱田は迫りくる石突きは無視して、そのままの直進を願った。
無論、ただ直進するだけでは相手の攻撃をもろに喰らうだけ。
だから、当たらない位置に着いた。

「獣のような前傾姿勢にしただけだがね」

まぁ、効果はあるし、それが一番有効だとは思う。
左右なら恐らくあの少女は合わせてくる力量があるし、後ろは論外。飛べばその間無防備。かといって下にいるだけでは相手が体勢を直してくる。
ここは攻めの姿勢で間違えていない。
それに薙刀とは珍しいが、リーチで言えば長物だ。そういった武器は下に向けるには不向きである。槍でも薙刀でも、地面に当たれば刃は歪むし、石突でも反動で手が痺れる。
だから、一見熱田が押したように見えるけど

「お」

その前に少女の背が一気に低くなる。
否、低くした。
膝を曲げて、前傾姿勢で傾いた姿勢に合わせたのだ。これならば、下に姿勢が下がった熱田を狙えるし、いざという時の次の動きに繋げられる。
慌てて後ろに振り替えるなどをするよりもいい判断だ。
そして軌道修正された石突きは直撃……とまではいかないようだ。精々、当たるのは肩くらいだろうがそれでもあの勢いなら罅は確実な気がする。
さて、ではうちの副長はどうするやらと煙草を吸いながら見ていると

「───」

そのまま前に進みながら左に多少傾いた。
あん? と思ってそれを見る。被弾面積を少しでも減らそうとして左に傾いたのだろうか。
だが、あの位置だとまだ左肩に食らうが、まぁ無理に肩を動かせば
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