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不可能男との約束
肉の晩餐会
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大丈夫だと思うが、油断はいけない。そんな余裕をあのグループが維持させてくれるとは欠片も思ってはいけない。
生存競争というのはどんな時でも悲惨だ、と心の中で悲しみ

「……それだけですか?」

「いやね? 年取ったおっさんの好奇心にちょい付き合ってくれないかなぁっていうの本音なんだよ。年をとると周りからの反応とか気にしなくなるからね」

「……別に、昔のことならばナルゼ君にも語ったりしましたが?」

「いやいや、別件別件───二境紋の事だよ」

自分の姿勢が単語ひとつで変わったのを理解する。
成程、と思いながら何か今の雰囲気に変わったのを別に懐かしがらずに済んでいる自分に内心で苦笑する。

「一応、先日に言われたとおりに武蔵内の情報の入手と整理はしました」

「答えは出たかい?」

いえ、と首を振る。

「精々、三十年前くらいから発生している、各国でも発生しているくらいのネタですね。調べれば解る程度くらいしか……ただ……」

「言い悩むんなら口に出してみない? 言葉に出してみたら意外と頭の中で思っていたのと違う答えが見えるかもよ? 俺は聞く派だけど」

Jud.と答え、息を吸う。
まだ答えと意思を持って答えることが出来ない。プロットレベルの解答をするのは少し気が引けるがそんなことを言ってる場合ではない。
そして息を吸っている間に覚悟を決めて返事する。

「断定するには材料が少ないんですが……二境紋と深く関わりがある"公主隠し"。それにはパターンと言っていいのが存在すると思います」

無言の促しを受け、自分も無言の首肯をする事で返答とし、結論を出す。

「恐らく、"公主隠し"で隠された人物は襲名者……もしくはその縁がある人間が被害に遭っていると思います」

「ふぅん。それは怖い話だなぁ……それ。武蔵の襲名者の人達にも言ってる?」

「いえ……確証もない暴論ですし……現に」

ちょっと一息ついて内心で整理しながら答える。

「政治系の本多君の所は彼女の母も父親も襲名をしていないのに"公主隠し"に遭っています。だから、法則が今一掴めてないですね……」

ネシンバラは大丈夫かなぁと思いながら包帯が巻かれた右腕で表示枠を立ち上げる。
立ち上げた瞬間に直ぐに右腕を確認するが、マクベスが動かない。
なら、大丈夫だろうと思い、自分の情報領域(データバンク)から一つの図を表示する。
その図を覗き込んだ学長先生が先に答えを告げる。

「これ。系統図かい?」

「Jud.各国の生徒会や総長連合を中心とした襲名者のものです。その中で調べてみるとどう考えても消えているとしか思えない人物が結構いると思います」

「うっわ。夏のリアル風物詩を聞いている気分だねぇ……俺とか最近、そういうの
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