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不可能男との約束
肉の晩餐会
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「明後日からの春期学園祭か……祭好きな皆からしたら意図はどうあれうきうき気分がほとんどだろうなぁー……」

捻くれた考えしかしないなぁ、と自分にツッコんでしまう自分を自嘲するしかない自分に更に自嘲しながら夕暮れの武蔵をネシンバラはただ見ている。
あの会議はベルトーニ君の土下座勝利とやけっぱちのお蔭で何とか勝てた。
武蔵商人の意地汚さは大したものだと本気で思ってしまうのがどうしようもない。
少々、嫉妬めいた考えが生まれるのは現状の自分のせいだろう。それも込みのマクベスならシェイクスピアはかなり酷い性格である。
それにしても、改めて、というか何度も思っていることだが武蔵って大きいなぁって思う。
八艦を連結させて作られた航空都市艦。極東唯一の独立領土。
普段、乗っている自分としては昔はともかく今は少々有難みというのが薄れてしまいそうになるが、戦闘という面でいえばプラスマイナス両極端の船だな、と思う。

……って、有難み云々語ってるくせに失礼な奴だなぁ、僕。

色々と助けられたくせに、つい軍師っぽい語りを入れてしまう。
やれやれとアリアダスト教導院の橋上で座って首を振りながら

「酒井学長。学長が明日からの準備で何かしなくてもいいのですか?」

横で三人分くらいの距離を取っている学長先生に話を振った。
どうして、この武蔵には子供も大人も含めてこういった人が集まるのかなぁ、って思う。いや、まぁ、そりゃあ例外はあるけど。

「学長先生。今、暇になる事が出来るような感じじゃないですよね? 武蔵の入港準備とか待機している輸送艦の上陸手続きとか。仕事を終えてきたんですか?」

「いやいや。話を聞いてみたら貿易っていうけど、屋台にカモフラッたお祭り騒ぎ形式みたいじゃない? 立場的にってさ。俺、産業委員会の所に行って取引中止促さなきゃいけないんだけど、どうすればいいと思う?」

「ベルトーニ君みたいに土下座するのはどうでしょうか? ───いやいや、冗談ですから。誰も年取ったおじさんの土下座を見たいと思うような好きものは……恐らくいないでしょう」

「お前さんも大概だなぁ、トゥーサン。落ち込みまくっているって聞いたからもう少し元気がないと思ってたが、面白味がないねぇ」

「……誰かに僕のことを頼まれていたんですか?」

「真喜子君からね───放置しておいてくださいって」

精神破綻した人間が多いにも武蔵の特徴なんだろう、と空に半目を向けて頷く。
この程度でストレスが溜まっていたら武蔵では直ぐに禿になる。
そういえば以前、ミトツダイラ君に媚を売っていた商人に突撃を馬鹿達がかました事があるが、風の噂だとその商人は最近、生え際のことを気にしているらしい。
気を付けよう。その人は失敗した自分達の将来だ。
まだ現役だから
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