流星
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花月壮の一室に響は寝かされていた。体のいたるところには包帯が巻かれ、口にも酸素吸入器が取り付けられている。
呼吸こそ落ち着いてはいるものの、外傷は一夏の比ではなかったらしい。
幸いだったのが内臓に損傷はなかったことだ。だが、骨折こそしなかったものの、重度の捻挫に加え、右肩の脱臼、大腿骨にはひびが入っていたらしい。
出血箇所もあり、髪にこびり付いてしまった血から未だに鉄臭さが残っている。
響の隣には、セシリアとシャルロット、ラウラが顔を俯かせていた。
「響さん……」
セシリアが呟くが響はいつものように返事をしてはくれない。
彼女はそれがどうしようもなく悲しくなって、目じりに涙を溜める。だが、
「っ!!」
涙を乱暴に拭うとセシリアは立ち上がった。
「……響さん。ここで休んでいてください……わたくしは福音を墜としてきますわ」
セシリアの宣言にシャルロットとラウラも驚いた表情をするが、彼女の目に宿っていた闘志の光に気付くと互いにうなずき合い、
「セシリア。僕達も行くよ」
「うむ、響をこんな目にあわせた福音に落とし前をつけさせなければな」
「お二人とも……。わかりましたわ、行きましょう」
セシリアは頷くと、襖を開け廊下に出る。するとちょうど同じ時に向かいの部屋。一夏が寝かされている部屋から鈴音と箒が姿を現した。
「アンタ達もいくの?」
「も、ということは鈴さんと箒さんもですわね?」
「当然! 確実にアイツを墜とすわ」
鈴音は拳を握り決意をあらわにする。箒もここに運ばれたときの魂の抜けたような瞳はしておらず、しっかりとした闘気が溢れていた。
「じゃあ、作戦会議といきましょうか」
鈴の言葉に皆が頷きその場をさっていく中、セシリアだけは眠る響に微笑みかけながら、
「いってまいります。響さん」
セシリアは襖を静かに閉じ、その場を後にした。
千冬は作戦会議室にて眉をひそめていた。
「私の責任だ。鳴雨を行かせなければあんなことにはならなかった」
「織斑先生……あまり自分を責めては……」
真耶が声をかけるが千冬は柱を叩く。それだけでこの部屋全体が揺れたような気がしたが、今の千冬にそんなことを気にしている暇はない。
「山田先生……しばらくここをお願いします。私は鳴雨の家に連絡をとって来ます」
千冬は悔しげに顔を歪ませながら室内から去った。
廊下の一角に来た千冬は端末を開き、響の家に連絡をした。
数コールの後、柔和な女性の声が聞こえた。
『はーい。鳴雨ですがどちらさまでしょうか?』
「突然のお電話申し訳ありません。私、IS学園で御宅の響さん
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