第七十話 暴虎馮河の勇
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るのも大部隊という数を生かしてこその兵器である。従って、プラントも破壊したこの兵器に対して執着する理由など何一つなく、ザフトの部隊は一撃を成功させた時点で放棄が決定していた。
「結局、僕たちのやったことは無意味だったってことなの?また憎しみが広がっていくのを止められなかった。これじゃあ……」
レクイエムを止めることが出来なかったキラ達アークエンジェルの面々の空気は重い。機体の損傷も大きくはないが、フリーダムやドムといった兵器関連の物資の補給が難しい以上、決して無視できるものではない。
「そう塞ぎ込むな、キラ君。終わってしまったことをなんと言っても今は如何することも出来ないんだ。それよりもこれからの事を考えるべきだ。どうする?少なくともレクイエムは沈黙した。修復されても困るから一応破壊できる所は破壊したが――――」
「それに関して何だけど、さっきクサナギから連絡が入ったわ。ここで待ち惚けているわけにもいかないし、一度合流すべきじゃないかしら?」
バルトフェルドがこれからの方針を尋ね、マリューが数少ない朗報であろうクサナギの件を報告する。
「それはありがたい、今は一隻でも戦力が多い方が良いからな。それで合流地点はどこだ?」
「そこまではまだ――――多分、コペルニクスか中立コロニーになるでしょうね」
「何でだい!ファクトリーに行けば補給や修理も簡単だろうに!ラクス様の情報だってあそこの方が手に入りやすいだろう!」
マリューが提示した合流先の候補にファクトリーが無いことを不満に思ったヒルダが文句を言う。
「ファクトリーという手も無いというわけじゃないけど、発見される危険性やファクトリーの今の状況を考えると避けた方が良いわ」
「チッ、そうかい!」
「あ、おいヒルダ!まだ話し合いの途中だぞ!」
ラクスの生存を信じているヒルダはその情報が少しでも多く集まるだろうファクトリーに向かわないことに怒りが沸き、そのまま艦橋から退席する。マーズも流石にそれは不味いと思い、後を追う許可を得てそのまま追いかけていった。
「……キラ君はどうしたいの?」
マリューは心配そうにキラに対しても尋ねる。ラクスの件で一番気にかけているのは他ならぬキラ・ヤマト自身だ。彼にとって彼女の存在は最も大きく心の内を占めていたはずなのだから。
「……ファクトリーに行く必要はありません。合流場所はマリューさんやバルトフェルドさんが最善だと思った場所にしてください」
「本当に、それでいいの?」
「はい、ラクスならきっと、足踏みして手掛かりもなしに探すよりも、少しでも戦争を終わらせて平和な世界へと導くことを望むと思うんで」
探したい気持ちが無いわけではない。寧ろ、探せないこの辛さは誰よりも大きいという事
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