十字架
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う答えるクロスは、どこか悲しそうな表情をしていた。
その言葉を聞いたシュランも俯く。
「・・・奇遇ですね。私にも、ガジル様しか・・・幽鬼の支配者しかいないのです」
その右手に魔力が集中し、魔法陣が展開する。
クロスはそれに気づかない。
「だから・・・負けられないんですよっ!」
「っ!」
勢いよく飛んできた蛇模様を、クロスはギリギリのところで避ける。
姉譲りの身体能力でその攻撃を避け、着地して、剣を構えた。
「危ないな・・・っと!」
再び向かってくる攻撃にクロスは剣を一振りする。
「負けられない・・・負けられないんです・・・私をあの暗い場所から救い出してくれた幽鬼の支配者の為にも・・・私を光の元に連れ出してくれたガジル様の為にも・・・負けられないっ!」
3つのカラフルな蛇がクロスを襲う。
それをも綺麗に宙返りして避け、シュランとある程度距離を取った。
そして、ゆっくりと口を開く。
「・・・過去に何があったかは知らないが、お前と俺を同類にするな」
「!」
シュランが目を見開く。
「お前の傍にお前の過ちを止めてくれる人間はいるか?共に笑い、共に泣き、共に怒る・・・そんな人間はいるか?」
クロスは剣を構えたまま、言葉を続ける。
「俺には『昔』姉さんしかいなかった。あの忌々しい両親の血が流れている事に何度も絶望した・・・だが、こんな俺を必要とし、共に笑い、共に泣き、共に起こり、過ちは正してくれる・・・そんな仲間達が、『今』の俺にはいる。このくだらん争いを過ちと感じ止める者がいなかった時点で、貴様と俺は同類ではない」
凛々しい表情でそう言い放つクロス。
その横顔は姉であるティアにそっくりだった。
それを聞いたシュランは口元を緩ませる。
「・・・だから、そのお仲間の為に戦うと?貴方のお姉さまは『誰かの為に戦っている訳ではない』とおっしゃっていましたが?」
「そうだろうな」
「は?」
「え!?姉さんがそんな事を!?」みたいな驚きの言葉を予想していたシュランは、思わずマヌケな声を出す。
「姉さんはとことん他人に無関心だ。自分が興味を持たない限りはギルドの人間だろうと関係ない。だからこの抗争に参加したのは誰かの為ではない」
それくらい知っているさ、とクロスが肩を竦める。
「では何故、あの方は・・・」
「知りたかったら自分で聞けばいい。姉さんはめんどくさいと言うだろうが、きっと答えてくれる」
にっこりとクロスが微笑んだ。
・・・と、同時に、シュランの近くに三角形を作るように剣が落ちてきた。
「っ!?」
「悪いな。お前に時間を喰っている場合ではないんだ」
そこに白銀の魔法陣が展開し
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