暁 〜小説投稿サイト〜
失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第十八話「小悪魔な彼女」
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


「そうか、助かる。それと、今の俺はリシャルト・ファルファーだ。これからはリシャルトと呼んでくれ」


 これも釘を刺しておかないといけない。あまり軽々しく真名を呼ばれるのはよろしくないのだ。


「そう、それよ。疑問に思ってたんだけど、なんで名前変わってるの?」


「色々あるんだよ。まあ、いずれ話すだろうから今はあまり詮索しないでくれ」


「そう……。わかった、時期が来たらちゃんと教えてね」


「ああ」


 そうこうしているうちにレイブン教室にたどり着いた。


「ここがレイブン教室だ。今日からフィアが通う教室だな」


「リシャルト君もレイブンでしょ?」


「ああ。それとクレアもな」


「リシャルト!」


 噂をすれば影。廊下の向こうからクレアが掛けてきた。どうやら俺を探していたらしい。


「もうっ、いったいなにをして――」


 クレアの視線がフィアに向かい、ぴたっと立ち止まった。


「あ、ああああんたたち……こ、こんな廊下のど真ん中で仲良く歩いて……」


「仲良くって、肩が触れる距離にいるだけだが?」


 隣で、何故かフィアが頬に手を当てた。


「リシャルト君ったら、大胆ね……」


「フィア?」


「……フィア?」


 まるで地獄の底から響いてくるような低い声。見ると鬼の形相でこちらを睥睨している関発のお嬢さんの姿があった。


「ずず、随分と仲がいいのね……こ、こここの男ったら、本当に見境がないんだから」


「なんだかよく分からんが、一旦堕ち付けクレア」


「――クレア?」


 俺が口にした言葉に今度はフィアが反応した。


 つま先から頭頂まで見つめると、鋭い目でクレアを睨む。


「そう、あなたがあの人の妹。クレア・ルージュ」


「だったらなによ」


「……あなたには絶対負けないんだから」


 見えない火花を散らす二人。


 そんな彼女たちを尻目に俺は一人教室に足を踏み入れた。


「どうでもいいが、もう授業の時間だぞ」


[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ