暁 〜小説投稿サイト〜
失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第十八話「小悪魔な彼女」
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 楚々とした優雅な歩き方。流石、本物の王女様は所作ひとつとっても気品に満ちているようだ。


「しかし、あれから三年か……月日が経つのは早いものだな」


「ん? どうかしたの、リシャルト君?」


 コテンと首を傾げるお姫様に苦笑する。


「いや、こうして顔を合わせるのは三度目だなと思ってな」


 ピタッ。


 唐突に足を止めたフィアナ。振り返ると目を大きくしたフィアナが俺の顔を凝視していた。


「思い出してくれたんだ……」


「ああまで露骨に言われればな。……久しぶりだな、フィア」


 かつて、よく呼んだ愛称を今一度口にすると、身体を大きく震わせた彼女は勢いよく駆けて抱きついてきた。


「クー! 逢いたかったわ!」


「おっと。おいおい、いささかはしたないんじゃないか?」


「三年ぶりの感動の再開なんだから、大目に見てもいいでしょ? もう、クーったらなかなか私だって気が付かないんだからヤキモキさせられたわ」


 その顔には先程までの優雅な微笑みはなく心からの笑顔が宿っている。


 俺も旧知の再開に自然と笑みが浮かぶを自覚した。


「仕方ないだろう。まさか三年でこんなに成長してるとは思ってなかったんだから」


「そう? どうかしら、クーから見て」


「ああ、見違えた。綺麗になったよ」


 実際本当に見違えた。三年前の彼女はまだ子供っぽさが目立つ女の子で背も低かった。それがちょっと見ない間によくもまあ、ここまで……。


 背は高くなり身長は一六五センチほど。胸も三年前はまさに虚乳という言葉がしっくりきたが、今や巨乳と呼べるほどにまで成長している。


 全体的に女の子から女っぽい雰囲気に変わっていると言えば良いのだろうか。あと数年すればだれもが振り向く絶世の美女に成長するだろう。


 俺の言葉にフィアナ――フィアは顔を真っ赤に染めて腰に回した手に力を込めた。


「……もうっ、クーのそういうところ変わってないんだから!」


 ――照れ隠し、か?


 なんにせよ、そろそろ離してほしいものだ。先程から外野の視線が突き刺さっているのだから。


 チラッと周りに目を向けてみると案の定。


「ねえご覧になって、リシャルト・ファルファーがまた女の子を手籠めにしているわ。今度は編入生よ」


「まあ、手の早いこと」


「淫獣の本領発揮ね!」


「でもちょっと羨ましいわ……」


「なに言ってるのよ! そんなこと言ってると真っ先に食べられちゃうわよ!?」


「でも、あの鋭い目で見つめられると、胸のあたりがこう……キュ〜ってなってしまいま
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ