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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
天上天下
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「……………?」
幼女は首を傾げた。
今、おそらく自分達のいる座標上にいる少年には、こんな気色悪い兄弟はいなかったはずだ。
彼、小日向蓮の血縁関係上、
生存
(
のこっ
)
ているのは実の兄である小日向相馬、並びに紺野木綿季だけだったはずだ。双子でも、三つ子でもなかったはず。
怪訝そうなマイに、ククッと少女だったモノは嗤った。
『と言っても、あんなガキのことじゃないよ。彼に憑いてる、僕の兄のことさ』
「憑い……てる…………?」
その単語を、口の中で転がす。
その様子を見るソレは、実に楽しそうで、そして実に不愉快そうだった。
『君も何度か彼の中に《潜った》なら、《見た》ならば、感じたことがあるはずだ。なにせ存在力が途轍もなく強いからねぇ』
ピクリ、とマイは眉が動くのを止める事ができなかった。
覚えがある、どころではない。毎回、彼に言われてBBシステムを使い、彼の魂と同期するたびに感じた違和感。いや、違和感と言うより、存在感か。
正ではなく、途轍もない負の意思。
プラスではなく、マイナスの因子。
それはまさしく、彼の魂を取り囲むように《憑いて》いた。
「あれが………あなたのお兄さん……」
なの?と言葉を連ねようとする前に、立て続けに事は起きた。
ゴッ!!という音とともにテーブルと椅子が爆発し、そこから鋭い瘴気を纏った貫き手が幼女の顔目掛けて繰り出された。しかし、その手はマイの白い肌に傷一つつける事は叶わなかった。
なぜなら、マイの皮膚上数センチといった所で純白の閃光が空間に走り、日本刀のごとき一閃を真正面から受け止めたのだ。それを忌々しそうに見、アスナの姿をしたモノは憎々しげに言う。
『やはり破れない、か』
「無駄なんだよ。マイの肉体と精神は数千のシステム的プロテクトでロックされるもん。それを破るには、最低でも秒間80000グラビトンの心意攻撃が必要かも。あなたのはせいぜい30000がいいところ……」
淡々と言う幼女だが、その頬には冷たい汗がダラダラと伝っている。
たとえ護られ、ダメージも痛みも無いにしろ、やはり怖いもんは恐いしビビるものはビビる。たとえフェンスがあっても、ファールボールから反射的に身を引いてしまうようなものだ。
その様子を横目で見ながら、だろうね、とアスナの形をしたモノは言った。
『僕が父様から受け継いだのは《精神感応》だからね。直接的な攻撃力は空っきしだ』
父様、というのは大いに気になるところだったが、マイはとりあえずそちらは放棄し、脳をフル回転させた。
つまり彼らは、彼らという存在は、一つの《父様》なる存在から誕生した個体だという事になる。否、一般的に考えてみれば《母様》なる存在もいるだろ
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