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魔法少女リリカルなのはA's The Awakening
第十八話
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のとある公園で、竜二は西村と落ち合う。

「……久しぶりやの、八神」
「せやな……」
「こっちは蜘蛛、お前らは蛇……大阪の不良グループでは北と南の覇権争い」
「前置きはええ。何の用でこんなとこまでわざわざ来たんや?」

 竜二が西村の話を無理やり切って目的を尋ねた。すると西村は突然頭を下げる。

「今回のお前らへの襲撃、俺が下の人間を抑えきれへんかったから起こったことや。あいつらのことは勘弁してやってくれへんか」

 大阪を出て海鳴に向かったメンバーがいると聞いて慌てて追ったはいいものの、間に合わず襲わせてしまったことに、集団のリーダーとして責任を感じているのだろう。しかし竜二はそれを聞いても平然とタバコをふかして答える。まるで最初から気にかけてすらいなかったように。

「……ま、そんなことかと思ってたけどな。こんな片田舎、ぶんどったところでお前らのチームには何の影響もあらへんねしな」
「うちのチームの成り立ち、ここまでの抗争の歴史からして、うちのチームは確かにお前のことを憎んでいるような奴らばかりや。見つけてもうたら戦場になるとは思ってたが……なんにせよお前が無事でよかったわ」
「堅気に戻ろうが、下っ端には関係ない話か……お前も下の人間、もちっと教育せぇや」
「面目ないわ」

 かつて敵対していたチームのメンバー同士とは思えない会話である。竜二が既に脱退しているからか、西村が頭を下げてまで見せた。

「それでな、俺がわざわざこっちに出向いてきたことには、もう一つ理由があんねん」
「ほう……何やそれ」

 西村の雰囲気が張り詰めた。竜二もタバコを消し、正面から向き合う。

「……俺は今回の件で、引退させられることになった。お前を襲撃することに反対したことで、チームのリーダーとしては信用がおけん、ということらしい」
「ふーん。それで?」
「さっき部下の失態を謝っておきながら、今から俺は図々しい頼みをする。できれば受けてもらいたい」
「……聞くだけ聞いたるわ」

 西村は再び頭を下げて言い放った。

「頼む。俺の引退試合、付き合うてくれ!」
「……ハァ?」

 流石にこれには竜二も呆れざるを得なかったらしい。反応した声は裏返っていた。

「俺はチームを、不良を引退することに否やは一切ない。俺自身、そろそろそんなことをしてれる状況やなくなってきてたし、それそのものは渡りに船みたいなもんやった。せやけどただ一つ、どうしても決着を付けておきたいことがあんねん」
「……そういや、俺が引っ越すまでの戦績はタイスコアやったかの」
「ああ。でももうこれで終いや。お前より遅くはなったが、堅気に戻れる。その前に、最後の勝負はお前とって決めとったんや」

 西村にとってみれば、勝っても負けてもどうでも
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