第四十四話 高校の運動会その十五
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「それぞれの色のポンポンなの」
「そうだと思うわ、鉢巻とかリレーのバトンもそれぞれの色で統一してるから」
「そうなのね」
「そう、体操服の半ズボンだってそうなってるじゃない」
体育委員は笑顔でそれもだというのだ、とはいっても今彼女達はジャージ姿で準備をしているのだが。
「皆借りたでしょ」
「ええ、ライトブルーのね」
「あれね」
膝までの半ズボンだ、これは男女共だ。
「それと一緒でなの」
「ポンポンもなの」
「そうなの、多分それぞれのクラスでそれぞれの色になってるから」
「じゃあこのまま作っていってもいいのね」
「そうして、私も一個作ったから」
ここでそのポンポンを皆に見せて言う彼女だった。
「これね」
「ちょっと、そのポンポンって」
「ないでしょ」
だがだった、皆体育委員が作ったポンポンについては眉を顰めさせてこう言うのだった。
「何、それ」
「海胆?」
「それもガンガゼ?」
おこまで尖っているのだ、近寄れば無数の針が来そうな程に。
「何でそんなに尖ってるのよ」
「それ本当にビニールなの?」
「ううん、ちょっとね」
体育委員はクラスメイト達の顔と言葉を受けて困った顔になった。そのうえでこう言うのだった。
「作ってるとね」
「固くなったの?」
「そうなったの?」
「使ってるのはビニールよ」
そこは変わらないというのだ。
「けれどね」
「それでそれ?」
「そうなったの?」
「実はスプレーを使ってね」
かけると固まるそれをだというのだ。
「そうしたら格好いいかなってね」
「それでそうなったの」
「ガンガゼみたいになったの」
「失敗かしら」
「ええ、大失敗ね」
「機雷にも見えるわ」
ポンポンではなくそれにも近いというのだ。
「投げたら突き刺さるんじゃないの?」
「怪我するわよ」
「じゃあこれは」
体育委員の娘は自分が作ったそのガンガゼそっくりのライトブルーのポンポンを見つつそうして話すのだった。
「どうしようかしら」
「ううん、捨てるのも勿体ないし」
「使うのにもあれだし」
クラスメイト達は困った顔で話していく。
「どうかしらね」
「どうしたものかしら」
「置いておくしかないかしら」
琴乃がここでこう言った。
「看板のところに貼ってね」
「それこそガンガゼみたいに?」
「そうするのね」
「うちの部活看板海賊の漫画だからね」
海胆は海にある、それでだというのだ。
「丁度いいでしょ」
「そうね、言われてみればね」
「それでいけるわよね」
クラスメイト達も琴乃のその言葉に頷く。
「見たらよく出来てるし」
「ただ硬いだけでね」
その面からも捨てるには惜しいというのだ。
「じゃあ看板の上の端に貼って」
「それで
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