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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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とこちらを睨みつけてきた。

「いとめヤジリさんですね。息子さんの担当上忍になりました、シソ・ハッカと申します。息子さんが下忍として任務に参加するにあたって、死の危険がつく場合もございます。息子さんが承知した任務にて息子さんに万が一のことがあっても、残念ながら私どもでは責任をおうことはできません。ですからこの書類に署名いただけらと」
「わしは字が読めんし字も書けん。ヤバネとておなじじゃ」

 ヤジリはきっぱりと言い切り、黒い目を細めてユヅルを睨んだ。憎しみと恨み、怒りと畏怖の入り混じった目。その目つきにユヅルが俯き、マナは戸惑いをあらわにした。
 ――なんか……変
 家族を見るのってこんな目だろうか。もっと慈愛に満ちた優しい目とかじゃないんだろうか。持ったことがないからわからないけれど、しかしユヅルとヤジリ、ヤバネの関係はあまり普通の家族らしくないということはハッキリと感じられた。

「ユヅルのような疫病神などどこで死んでいようがどうでもいいわ。――ユヅル、自分で署名しろ」

 吐き捨てられたその言葉に微かに頷いて、ユヅルは鉛筆を取り出す。その指が微かに震えていた。その手をハッカが握って、そしてハッカは前に進み出た。

「お言葉ですが、それは度が過ぎるのではないかと」

 真剣な顔つきでヤジリを見上げている。ヤジリは白い片眉を上げて、黒い目でハッカをじろりとにらみつけた。
 確かに、疫病神だとかどこで死んでいようがどうでもいいだとか、実の息子に向けるにしては酷すぎる言葉ではないのだろうか。いつも自信がもてず縮こまっていたユヅル。アカデミーを卒業して晴れて下忍となれた途端に、そんな言葉を実の父に言われて、彼はきっとひどく傷ついたはずだ。
 ――家族なら、こういう場合、よく頑張ったねって、褒めるんじゃないのか?

「度が過ぎる、だと? 家の六人の子供と家内は、こいつの所為で死によったんじゃ!」

 唾を飛ばして怒鳴るヤジリに、ユヅルは縮こまった。そんなユヅルの肩を摩りながら、マナはヤジリを呆然と見つめた。
 ――違う
 違う。何が違うって、マナが夢想していた家族というものと、違った。
 ――悪いことしたら叱る。いいことしたら褒める。それが父親ってもんじゃねえのか? 子供を疫病神だって言って、他の子供と妻が死んだことを全部その子の所為にするのが愛ってもんなのか? 家族ってもんなの、か?

「……先生、あの、ほんと、俺自分で書くから」

 泣きそうに顔を真っ赤にしながら、ユヅルは言って、震える文字で書類の上に「いとめユヅル」と署名する。

「出てけ。もう二度と帰ってこんでもええわ!」
「……はい」

 涙を零して、ユヅルは家を飛び出た。その後をハッカが追う。ヤバネは父親を寝かせると、こっちにきな、と未
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