決勝戦 五学年〜後編〜
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左右の速度を下げて、中央をさらに速める事で、瞬く間に再び矢を形作る。
驚いたのも一瞬――直後、アレス艦隊の先頭がゆっくりと開いた。
それは高速再生の朝顔のよう。
花開いた奥から出撃するのは、五百ほどの分艦隊と、三隻の宇宙母艦だ。
直後、開いた花弁から放たれて突撃を開始する。
見事な艦隊移動を見せたテイスティアは、アレス艦隊の急な攻勢に対応することができない。自らの速度と相まって、実に絶妙なタイミングで放たれた逆撃の刃。
数では圧倒していたテイスティア艦隊に、アレスの分艦隊はカウンターのように食い込んだ。
被害が数値となって、流れていく。
先頭同士がひしゃげる中で、食い込んだアレス艦隊は戦闘艇を射出する。
突進のために艦隊を集めていたのが、テイスティアに取っては仇になった。
艦隊の隙間を戦闘艇が自由に飛び回り、テイスティア艦隊から損害の数値が大きくなる。
凄いと、フレデリカは思う。
敵の突進に対して、突進で打撃を与えるアレス。
アレスの突進に対して損害を抑えることを諦めて、突進を再開するテイスティア。
フレデリカの見る前で、戦場は移り変わる。
+ + +
敵に対して、打撃を与える事はできた。
だが、航空母艦の突進が致命傷ではないと見て、テイスティアは艦隊を進めさせる。もし少しでも戸惑えば、アレスの戦闘艇はさらに被害を与えていただろう。
それでも、遅い。
相手が態勢を整える時間で、アレスもまた陣形を完成させている。
それはアレスを先頭にした三角形の鋒矢の陣形だ。
一瞬の制止を受けた艦隊と走り出した艦隊。
互いがぶつかりあえば、一瞬の後に、砕けたのはテイスティア艦隊であった。
『先輩っ!』
衝突の瞬間、声にならぬテイスティアの声が聞こえた。
見事だよ。小さく呟いて、もはや抵抗のできない艦隊をアレスは矢となって貫いた。
+ + +
テイスティア艦隊を蹴散らして、一本の矢は止まらない。
近づく赤い点に、フォークはコンソールに手を叩きつけた。
「何をしている。これだから無能は――何をしている」
その声は全艦隊に一斉して配信された。
「何をしている、ウィリアム、ハワード! 敵は少数だ、前方に艦隊を配備して、勢いを押さえろ。マクワイルドを殺せ!」
絶叫が命令となって、しかし、誰一人として動く事はできなかった。
一瞬で――一撃で、テイスティアの艦隊が壊滅した光景を、誰もが見てしまった。
その後で再びアレスの前を塞ごうと考える人間はいない。
いや、一人だ――いたかもしれない。
だが。
『端的に邪魔かと思慮いたします』
「そう。それが俺の仕事だから」
ライナの動きを、サミュール
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