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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
決勝戦 五学年〜後編〜
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「意見の相違だね。さっさとそこをどかないと、どでかいミサイルを、可愛い尻に突っ込むぞ?」
『端的に、実に端的に申し上げます――即ち、下種と』
「褒め言葉をありがとう」

『耳を掃除された方がよろしいかと、存じ上げます。なんでしたら、私が耳を切り取って綺麗に差し上げましょうか』
 言葉の応酬は、直後に弾幕の応酬へと変化する。
 四千対二千とほぼ倍近い兵力差にも関わらず、ライナは耐えた。
 それはライナが守戦に徹した事もあるだろう。

 攻撃に対して、的確に防御するライナを、サミュールは攻めきれない。
「お堅い女性だな」
『それは褒め言葉と受け取らせていただきます』
「褒めてねえよ。石顔面。たまにはにっこりと笑ってみろよ」
『先輩には笑顔を見せる必要を感じませんので』

 互いが相手をけなしている。
 それもただの悪口ではなく、相手の精神を揺さぶるような言葉だ。
 単純な罵声ではない。
 少しでも怒りによって、相手の冷静さを失わせるための、一種の策略。
 もっともそれを頭では理解していても、腹が立たないわけではないが。

「噂になってるぞ、一学年。誰にも笑顔を見せないってな、それじゃ嫁の貰い手もないんじゃないか?」
『……先輩は嫁の貰い手が多そうで良かったですね』
「あ?」
『先輩の女性方がおっしゃっておりました。即ち、サミュール君は可愛いね、食べちゃいたいと――知ってますか。何も禁止されている本を回し読むのは殿方だけではないことを』

「ちょ、ちょっと待て、それは禁止の意味が違う気がするぞ」
『いらぬことを申し上げました。端的に、忘れてください』
「一生忘れられねぇ!」
 叫んだサミュールの艦隊が乱れ、攻撃を受けた。

 咄嗟に艦隊を立てなおすのはさすがであったが、攻防が続けば、アレスを援護する時間が少なくなる。
 しかし、実に効率的にこちらの攻撃を止める相手に、時間を見る。
あまり長く時間をかけるわけにはいかないと、サミュールは言葉を続けた。
「いい加減諦めろよ、テイスティアもお前も。そんなにそちらの総司令官は優秀か。それともフォーク総司令官に頑張れば、成績を挙げてくれるとでも言われたか?」

『これ以上あげる成績がございませんね』
「ああ。そうだったな、失敗」
 悪びれもせずに言葉にするサミュールに、小さな笑い声が聞こえた。
 そして、続く言葉は小さな――呟きだ。

『テイスティア先輩がおっしゃっておりました。これは宿題だと』
「ん?」
『その意味を私は理解いたしません。しかし、ただその想いは理解したいと思います。だから、端的に申し上げます。あなたにも邪魔はさせませんと』

 はっきりとした強い言葉であった。
 その言葉に、サミュールは一瞬コンソールから手を離した
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