暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
妖精達の舞踏会
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いて立つ小さな背中に、初めて威厳と言う圧力を感じた。

地上に展開された狼騎士(フェンリル)隊から、聞き覚えのある声が飛んでくる。

「隊長〜、《ヘル・ブレスト》装填完了しましたぇ〜!」

間延びしたその声は、耳に新しい。狼騎士(フェンリル)隊副隊長であるヒスイの声だ。関西弁と花魁語が混じっているようなその声が、今は限りなく安心できた。

「撃てるか!!」

「いぃえ〜、あん坊やが射線上にいて撃てまへんぇ。あれごと撃ち抜いていいって言うなら、話は別やけどねぇ〜」

チッ、と紅衣の少年は舌打ちをした。その視線上を、リーファは追う。

確かに、漆黒の巨狼達の仰ぎ見る先には、黒衣のスプリガンが奮闘中でその何とかブレストを撃つ事はできそうもない。ケットシーの二大勢力の一角を成す狼達が放つ一撃が、あの小さな妖精を避けることができそうな繊細なコントロールを要しているとも思えなかった。

「なら僕が――――!!」

「いけません、レン!私が行きます!!」

身体を乗り出すレンを制し、カグラが轟音を皆の耳朶に響かせながら掻き消えた。数瞬で黒衣の人物の元へと辿り着いた巫女は、その首根っこを引っつかんだ。遠目に見ても、その首が嫌な角度で曲がるのが分かった。

「折れたなー」

「あれは折れたんなぁ」

約五秒後、西部劇のように悲鳴を響かせながらキリトとカグラがもと居た座標上へと帰還した。

それを待ちかねたかのように、即座のレンとアリシャ、サクヤの咆哮。否、号令か。

「《ヘルブレスト》――――」

「《ファイアブレス》――――」

「《フェンリルストーム》――――」

「「「発射()――――ッッッ!!!」」」

この世の全ての光を掻き集めたかのような閃光と轟音が、五感を薙ぎ払った。

単純な熱量だけで空気が爆発的に膨張し、大気を揺るがして小規模な竜巻を引き起こした。ガーディアン達が塵か埃のように宙空を舞いながら、互いにぶつかり合ってその儚い命を散らしていく。

焔、雷撃、爆炎が視界一杯に広がった。

このレベルになると焼けるのではなく、溶けるらしい。融解した白騎士達の鎧と身体が霧雨のように空中に広がる。さらにそれが、新たに湧出(ポップ)した騎士に降りかかって、その皮膚を、HPを酸のように嘗め尽くした。

二次、三次と続く、地獄のような災害。

ここまでくると、ゲームバランスを少々逸脱していると考えざるを得ない。本当の《必殺》という物は、二度も三度も殺せるという事。一度だけ防いだとしても、続く二次災害がHPを刈り尽くす。

災害ではなく、《天災》とでもいうのだろうか。

「す、すげぇ………」

地面に乱暴に投げ出されたキリトが、呆然と呟いた。

実際、リーファ自身も
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