第十話
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したまま、ずっと前を見ている。
その数秒後、大きなエネルギー弾が相馬を包み込んでいった。
エネルギー弾は、軽く爆発しながら煙をたてていく。生身の人間がこれをくらえば、ひとたまりもないどころか、消え去ってしまうだろう。
いくら鬼である相馬であっても、立っていられるかどうかわからない。もしかしたら、存在が消し飛んでしまったのかもしれない。
「一人排除か。残るは二人」
兵士も相馬を倒したと確信したのか、軽く息をはいてそうつぶやく。
だが、その直後兵士の表情が凍りついた。
「まだ……はえぇよ……」
そこには体のいたるところから血を流す相馬が、こっちを睨み付けながら立っていた。
「あの攻撃を受けて……立ってるんですか!?」
「あれが相馬の能力『蓄積と放出を操る程度の能力』だよ。あの莫大な攻撃を直に受けることで、エネルギーを自身の中に蓄積したのさ。もちろん、ダメージを受けないわけじゃあない」
「つまり……相馬さんは……」
「あいつは攻撃を受けるたびに強くなる。それがあいつのいい点でもあり、悪い点でもあるのさ」
そう言って萃香は溜息をついた。
「いい攻撃じゃねえか。それでこそだぜ」
ふらふらになりながらも、相馬は笑みをこぼす。そして、自身の前に立つ妖怪に視線を向けた。
「今度は……こっちの番だな!!」
そういった瞬間、相馬はその場からいなくなっていた。
いや、お空のすぐ目の前まで飛んでいた。
一瞬で移動した相馬は、右足を目に見えない速度でお空のわき腹へとめり込ませる。
まったくガードをしていなかった彼女の体は、めきめきといった不穏な音を軽く立てると、まるで音速のようなスピードで吹き飛ばされ、バリアにぶつかってその場に倒れた。
「なっ……」
「どうだ? これがお前の出したエネルギーのすべてだ。おめえも妖怪だから体は丈夫だろうが、かるくアバラがいったかもしれねえ。妖怪だし治癒能力高いからお互い様だろ?」
そう言って相馬は笑みを浮かべる。
しばらく動こうとしなかったお空だったが、意識を取り戻すとすぐに体を起こし始めた。兵士があわててキーボードをたたいているのを見ると、無理やり起こされたのほうが近いだろう。
「まだ立つのか……まあいいや。じゃあ萃香、あとまかせた」
というと、相馬は仰向けのまま倒れていった。
「相馬さん!!」
「ああ大丈夫。いつもあんなのだから」
「え?」
なぜか苦笑いをする萃香。すると、かすかだがなにかいびきの様な音が聞こえ始める。
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