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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
EpisodeU:
Vixi et quem dederat cursum fortuna peregi
Epos1夜天の主の下に集いし雲・守護騎士〜Wolken Ritter〜
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たじゃないか。この事件が終わったら、寂しさなど感じない程に付き合おう、と。それに誕生日を一緒に祝おうとも約束した。
下がった分だけ前進し、はやての目の前まで歩を進める。私を見上げるはやての目から不安が消えた。はやての小指に自身の小指を絡ませて「ただいま、はやて」とそう挨拶すると、はやては目に見えて喜色満面といった笑顔を浮かべた。

「っ! うん、おかえりやルシル君♪」

空いている左手ではやての頭を撫でつつ「無理して起きていなくても良かったのに」と靴を脱いで家に上がる。はやては「なんやヤな予感がしたんやもん」とまた表情に陰りを見せ、繋いだままの私の手を引っ張って、甲に頬を摺り寄せて来た。まるで猫の仕草。こういったところに安心感のようなものを抱け、妹のような存在に感じ、心が休まるというものだ。

「ルシル君・・・。目的を済ませばそのまま居らんくなるって・・・」

「・・・約束したからな。はやての誕生日を祝うと」

「っ・・・。憶えててくれたんやね。嬉しいわぁ〜♪」

「忘れるわけがないじゃないか。これでも記憶力には自信があるんだぞ」

はやての誕生日。そして“夜天の書”の起動。それが6月4日。明後日だ。大切な約束という、はやての側(ここ)に留まる言い訳に使っている私にはほとほとする。ああ、そうだ。こう思えばいい。はやて、そしてフェイト達や管理局・・・いいや、この次元世界のすべてを利用するのだと。そう思えば、ほら、罪悪感が消えていく。

「そうやったな♪・・・ふわぁ。安心したら一気に眠くなってきたわ」

大きくあくびするはやて。私が車椅子を押して、はやての部屋へと向かう。はやての部屋へと着き、車椅子をベッド脇へと停めて「今日はもう遅い。もう寝ような」と彼女の横に移動すると、すでに船を漕ぎだしていた。

「はやて。ベッドに着いたぞ」

「・・・・」

反応が無い。「おーい、はやて〜」呼びかけに応じてくれない。俯いたままだ。

「ほら、もうちょっとだから。まだ寝るな。ベッドに移らないと」

「んん、だっこぉ〜」

反応したかと思えば、急に甘えん坊になったな。半分以上眠ってしまっている所為かもしれないが。両腕を私へと伸ばしてくるはやてに思わず失笑。しかしはやては腕を戻さず「ん、ん」急かしてくる。

「しょうがないなぁ」

まず布団を捲り、はやてを横抱きして抱え上げて「やった?」と小さく両手を上げて喜ぶ彼女をベッドに移す。布団を被せて「おやすみ、はやて」と挨拶。布団を目の下まで上げたはやては、「ん。おやすみ、ルシル君」挨拶を返してすぐに寝息を立て始めた。私はそれを確認して踵を返し、はやての部屋を後にする。リビングのソファに一度腰を下ろし、一息つく。

「・・・、グランフェリア」

天井を仰ぎ
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