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ヘタリア大帝国
TURN100 マッドサイエンティストその十一
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「あんたまさかへ・・・・・・」
「韓国さん、幾ら何でも初対面の方にそれは」
「けれどこの人どう見てもなんだぜ」
 しかも服は体型が出るものだ、ズボンはタイツを思わせるまでだ。
 それではだとだ、まだ言う韓国だった。
「誰なんだぜ、この人は」
「ここまで目立つ方がロマノフ皇室におられたのですか」
「ははは、私のことは知らないみたいだね」
 ここでその男が言って来た、気品と気さくさを兼ね備えた口調である。
「私はクワトロ=亜空というのだが」
「クワトロ=亜空ですか」
 日本がその名前を聞いてこう言った。
「確か皇室の中でも軍事的才能に秀でた」
「そう聞いているんだね」
「はい、ですがその人は確かエイリスに亡命されたのでは」
「いや、それは妹だ」
「妹さんがおられたのですか」
「そうだ、確か今の名前はセイラだったか」
 亜空はこう話していく。
「まあ私もこれは本名ではないのだが」
「何というのですか?本当のお名前は」
「キャスバルというのだよ」
 これが彼の本名だというのだ。
「キャスバル=ズム・・・・・・この名前なのだがね」
「ああ、赤い何とやらなんだぜ」
 韓国はその本名を聞いてこう言った。
「あんたがだったんだぜ」
「そう、それが私なのだよ」
 カメレオンが動き舌を出す頭をそのままに語る。
「シャアという名前もあるがね」
「何故そこまで偽名が多いのかわかりませんが」 
 日本もそこが気になる、だがここで。
 東郷は亜空にこのことを問うたのだった。
「それで貴方はどうしてここに」
「私がここに収容されている理由か」
「はい、それはどうしてでしょうか」
「皇室は例外なくラーゲリで隔離される決まりだった」
 ソビエトの法律ではというのだ。
「しかし私はその軍事的才能を買われてカテーリン書記長に提督になる様に誘われた」
「それでもですか」
「共有主義の堅苦しさが気に入らなくてね」
 クワトロはその濃い顔で笑って言う。
「それで断ってここに入ったのだよ」
「そうだったのですか」
「そう、それでなのだよ」
 こう東郷に話す。
「ここで適当にトレーニングをしたり本を読んだりプラモデルを作ったりして時間を潰していたのだよ」
「ソビエトは貴方を殺そうとはしなかったのですか」
「あの娘はそこまで冷酷ではないらしいね」
 亜空は自分をここに入れたカテーリンのことをあの娘と呼んで話した。
「だから私はここに入れられるだけで済んだのだよ」
「そうだったのですか」
「食事も出ていたしね、それなりに快適だったよ」
「ではこれからは」
「さて、どうしたものか」
 部屋の外を見回しての言葉だ。
「ここを出ることになるかな」
「どうされますか?」
 日本がその亜空に問うた。

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